「大阪で徳川、いいんですか!?」尾張徳川家の至宝が大集結

徳川義直画像 模本(原本 清浄寺旧蔵)一幅 徳川美術館蔵 尾張徳川家の初代・徳川義直の肖像
NHK大河ドラマ『光る君へ』ファン、また刀剣ファンなら絶対に見逃せない『徳川美術館展 尾張徳川家の至宝』が「あべのハルカス美術館」(大阪府大阪市)で開催中だ。
■ 開幕前から注目、目玉の展示は国宝
「徳川美術館」(愛知県名古屋市)は、紀伊徳川家・水戸徳川家とともに御三家のひとつで筆頭であり、名古屋城を居城とした大大名・尾張徳川家(徳川家康の九男・義直(1600~1650)によって創始)に伝えられた歴代当主・夫人達の遺愛品など、約1万件もの名品を所蔵している。
同展は、「尚武 もののふの備え」「清雅 ―茶・能・香―」「求美」の3章構成で、武具、表道具、奥道具まで「徳川美術館」所蔵の至高の名品が一堂に会している。なかでも、現存最古の国宝『源氏物語絵巻』と、3代将軍家光の長女・千代姫が尾張徳川家に嫁ぐ際に持参した国宝『初音の調度(はつねのちょうど)』は、目玉の特別展示として、開幕前から注目を集めていた。

徳川美術館は、国宝『源氏物語絵巻』を15巻所蔵しているが、そのうち4巻(竹河(一)、早蕨、宿木(三)、東屋(二))が会期中、約2週間ごとに巻を替えて公開される。細部まで絵が非常に美しい同作品の見どころについて、徳川美術館の加藤祥平学芸員は、「(同展の)絶妙なライティングによって、詞書(ことばがき)の大きな金箔の華やかな輝きがキレイに見える点です」と語る。
■ 豊臣と徳川を結ぶ「大阪ゆかりの名品」も

ところで、大阪(大坂)と言えば、太閤さん(豊臣秀吉)のお膝元であり、江戸時代は「町人の町」として栄えた地。実は、同展の企画を聞いた際、加藤学芸員は「大阪で徳川、いいんですか!?」とビックリしたそう。そんなユーモアもあってか、同展で特筆すべきは、大阪にゆかりがある注目作品が多い点だ。
特に刀剣は、豊臣と徳川を結びつけるエピソードが多い名刀ばかり。日本刀を男性に擬人化したゲーム『刀剣乱舞』(とうらぶ)で人気の脇指(わきざし)『名物 鯰尾藤四郎(なまずおとうしろう)』も大阪にゆかりを持つ品だ。

同作で擬人化キャラが「焼けたせいで少し記憶はないけど、まあ、なんとかなりますって!」という台詞の通り、大坂夏の陣で大坂城落城とともに火を被り、家康の命で再刃(さいは)されたエピソードが残る。短刀『名物 大坂長銘正宗(おおさかながめいまさむね)』にも同様のエピソードがあり、太刀『名物 大左文字(おおさもんじ)』は、家康から豊臣秀頼に贈られ、豊臣家滅亡後に家康の元に戻ったと考えられているとのこと。
ほかにも、大盗賊・石川五右衛門が秀吉の寝所(大坂城内)に忍び込んだときに香炉の「千鳥」が鳴いて侵入を知らせた伝説が残る『青磁香炉』など、激動の時代を傍らで見つめ続けた品々に胸が熱くなるはずだ。
最後に大坂(豊臣)と江戸(徳川)の繋がりで、加藤学芸員が興味深い話を教えてくれた。
秀吉が武将達に「お前達の宝は何だ?」と問うたとき、家康は当初答えず、再度問われて「家臣こそが私の宝だ」と答えたそう。歴史史料では、秀吉に比べ、家康は名品への好みなどがあまり残っていないとのことだが、「大坂城落城の後、秀吉が大事にしていた名品を拾い上げて修復し、後世へと伝える橋渡しをしたのが実は家康なのです。そのような歴史を知っていただくことも見どころのひとつだと思います」と加藤学芸員。
同展は、東京の「サントリー美術館」に巡回予定だが、大阪会場では「大阪なので派手なものが好きだと思う」とのリクエストに応えた展示作品もあり、現代にも通じるデザイン性が高い、名古屋の華やかな大名文化を味わい尽くすことができる。

『徳川美術館展 尾張徳川家の至宝』は、「あべのハルカス美術館」にて6月23日まで開催。料金は一般1800円、大高生1400円、中小生500円。詳しくは公式サイトにて。
取材・文・写真/いずみゆか
「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」
期間:2024年4月27日(土)~2024年6月23日(日)
時間:火~金10:00~20:00、土日祝10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:2024年5月7日(火)、5月27日(月)
料金:一般1800円、大高生1400円、中小生500円
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