【光る君へ】マフィアな平安貴族のなか、癒やされた秋山の存在

2024.1.24 17:00

『光る君へ』第3回より、帝が毒をもられてるという真相にいち早く気づく実資(秋山竜次)と焦る道兼(玉置玲央)(C)NHK

(写真5枚)

吉高由里子主演で、日本最古の女流長編小説『源氏物語』の作者・紫式部の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。1月21日放送の第3回『謎の男』では、相変わらず策謀の限りを尽くす藤原兼家の絶好調ぶりに震え上がると同時に、ネットではあるお笑い芸人のハマりぶりに称賛の声が集中した(以下、ネタバレあり)。

■ 第3回「謎の男」あらすじ

父・兼家(段田安則)から叱責された藤原道長(柄本佑)。庶民の暮らしを知るために外出することを控え、一族の宿命としてもっと上を目指すよう説かれた。一方、兼家の命令で兄・道兼(玉置玲央)が円融帝(坂東巳之助)に毒をもり、帝は体調を崩していく。側近の藤原実資(秋山竜次)は病ではないことを疑い、陪膳の女房たちを調べはじめるが、証拠が出ることはなかった。

微笑みながらある様子をみつめる藤原詮子(吉田羊)、藤原道長(柄本佑)(C)NHK
微笑みながらある様子をみつめる藤原詮子(吉田羊)、藤原道長(柄本佑)(C)NHK

帝の快癒の祈祷をおこなう安部晴明(ユースケ・サンタマリア)は、兼家に頼まれて「一番重いお荷物をおろされた方がよいのでは」と、暗に退位をうながす。その言葉もあって円融帝は、東宮(次の帝候補)・師貞親王(本郷奏多)への譲位を決意する。そして兼家の娘・詮子(吉田羊)が産んだ唯一の皇子・懐仁親王(石塚陸翔)を次の東宮にすることを、兼家のもくろみ通りだとわかっていても決意するのだった・・・。

■ 加速する藤原兼家のゴッドファーザーぶりに震撼

ひと月も経たないうちに、すっかり「平安貴族=ほぼマフィア」なイメージが定着してしまった感のある『光る君へ』。その最大の原因と言えるのが、道長の父・藤原兼家の無情な策謀家ぶりだろう。この第3回でも「『民の暮らしぶりなんか知る必要はない』という炎上発言」「息子の弱みにつけこんで帝に毒を盛らせる」「陰陽師を買収して帝の退位を勧める発言をさせる」と、大きなものだけでもこれだけの悪事を働いてくれた。

『光る君へ』第3回より、円融帝に退位&自分の孫の東宮擁立を進言する兼家(段田安則)(C)NHK
『光る君へ』第3回より、円融帝に退位&自分の孫の東宮擁立を進言する兼家(段田安則)(C)NHK

この悪役無双ぶりにSNSは、「ゴッドファーザー兼家、今日も怖い」「こんなん平安アウトレイジですやん」「『蜻蛉日記』でそのクズっぷりを語られてる兼家、ドラマでもやばかった」などの悪口があふれる一方で、「兼家パパ、非情だけど民の暮らしを知れば心が揺らぐことは分かってるんだな」「道兼の人心掌握と動かし方が上手すぎて、すぐ後に父上(藤原為時)がまひろを動かすのは上手くないですね、が際立つ」と、その手腕に感心する声も。

特に円融帝に対して、毒をもってるのにしれっと退位&自分の孫の東宮擁立を進言する場面では「あなたが譲位してくれたら息子は東宮だよ? と言われて言いかえせない帝と兼家のやり取り、ヒリヒリしていて良かった」「うわ、帝も兼家の謀略には気付いてるのね。その前提でひとり息子を次の帝に据える点では利害一致」「兼家様の円融帝の足元を見た作戦勝ち」と、兼家と帝の腹のさぐりあいの会話にシビれたとのコメントが相次いだ。

■ 視聴者の癒やし実資、有能でかわいいキャラに

そんな権謀術数だらけのしんどい展開のなか、すっかり視聴者の癒やしとなっているのが、秋山竜次(ロバート秋山)演じる藤原実資(さねすけ)だ。きっとこのドラマでも重大な資料となっている膨大な日記『小右記』を記した貴族で、権力から一歩引いたところでこの時代を見つめることができる、知性と教養を持っていた人物だ。今回は帝が毒をもられてるという真相に、いち早く行き着くという有能さを見せた。

SNSでも、「秋山コナンくんじゃん」「陪膳の女房を取り調べるとは流石実資優秀!」「実資、やっぱ仕事できるな」「鋭いというか、真面目で細かくてきっちりしているんですよね。そのうえで過去の用例との比較が得意。つまり事務能力がバカ高い」「あの実資、なんかめちゃくちゃ小右記書きそうじゃないですか?」「実資だけが宮中での唯一の良心」などの多数の声援が。

『光る君へ』第3回より、女房たちを疑ったことで圧力を受ける実資(秋山竜次)(C)NHK
『光る君へ』第3回より、女房たちを疑ったことで圧力を受ける実資(秋山竜次)(C)NHK

しかし、毒をもった張本人・道兼がすぐ隣にいるのに気づかず、結局変に疑いをかけられた女房たちに「無礼」と嫌われただけだったというオチに、「内侍所の女房たちに睨まれて萎縮する秋山実資かわいい」「女子社員に総スカンくらった管理職みがたまらない」「ちゃんと仕事してるだけなのに女性陣に死ぬほど嫌われてて、しかもそれに対しヒヨってて笑う(笑)」「案外打たれ弱くてかわいい」などの、同情と励ましの声が上がっていた。

今回の大河ドラマで大きく懸念されたのが、皇室関係以外で登場する人物が、ほぼ「藤原」「源」姓の人しかいなくて、名前がなかなか覚えられない問題だ。実は筆者も「これは◯道だっけ? 道◯だっけ?」などと混乱するケースが、すでに多発してる。しかし今回の秋山実資のように、各人物の個性がハッキリしてくれば、自然と名前も認識できるようになるはず。まずは最後までこのドラマに伴走すると思われる、実資の活躍には今後も期待して間違いはなさそうだ。

『光る君へ』はNHK総合では日曜・夜8時から、NHKBSでは夕方6時から、BSP4Kは昼12時15分からの放送。1月28日放送の第4回『五節の舞姫』では、即位した花山天皇の前で「五節の舞」を披露する舞姫に選ばれたまひろが、驚愕の事実を知るところが描かれる。

文/吉永美和子

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