野宮真貴「渋谷系を歌う」、10周年は歌謡曲がテーマ

野宮真貴
「元祖渋谷系の女王」こと野宮真貴が9月22日、「ビルボードライブ大阪」(大阪市北区)に登場。渋谷系とそのルーツの名曲を歌い継ぐ音楽プロジェクト『野宮真貴、渋谷系を歌う。』シリーズの最新公演で、10周年を記念し「歌謡曲」をテーマにパフォーマンスする。
■ 一時代を築いた「ピチカート・ファイヴ」
現在アラフィフ~アラフォーの音楽ファンにとって、野宮真貴という人は好き嫌いを超えた、特別な存在ではないだろうか。1990年にピチカート・ファイヴ3代目ヴォーカリストに就任。『SWEET SOUL REVUE』『東京は夜の七時』『ベイビィ・ポータブル・ロック』といったヒット曲で、渋谷系を象徴する存在として一時代を築いた。
ピチカート・ファイヴの魅力といえば、小西康陽が作詞作曲する多彩な楽曲と、それにマッチしたハイセンスなヴィジュアルデザインだ。なかでもバービー人形よろしく、どんなファッションもキュートに着こなしてしまう野宮真貴のおしゃれさに憧れ、必死で真似をした女の子はかなり多いはず。
60ー70年代カルチャーの影響を色濃く感じさせながらも、90年代の空虚でポップな空気を体現したピチカートワールドは、基本的にはバンドをプロデュースする小西康陽によって作り上げられたものだ。しかし、今改めて振りかえってみると、それは野宮真貴のボーカルなくしては完成しなかったのは間違いない。
■ 天才コンポーザーの理想を体現する存在といえば
野宮真貴はピチカート加入以前、ソロや自身のバンド、ポータブル・ロックで歌う以外に、「野宮“ロマン”真貴」名義でCMソングの覆面歌手の仕事をしていた。アナウンサーのようにいい意味でクセのない、余計な感情を排した明るい歌声。ピチカート・ファイヴの真骨頂である「ポップな切なさ」は、そんな野宮真貴のボーカルがあってこそ表現できたものなのだ。
天才コンポーザーの理想とする楽曲世界を体現する──という意味では、野宮真貴は日本の歌謡曲のスタイルを正しく継承した「歌姫」だった。あるいは、今の若者には「YOASOBIのikuraのような存在」と言った方が、伝わるかもしれない。
Ayaseがいくら天才でも、ikuraの声なくしてはYOASOBIでの成功はなかったわけで。現在も日本のみならず、海外でも高く評価されているピチカート・ファイヴの成功は、小西康陽だけでなく、野宮真貴の存在なくしてはあり得なかったのだ。
2001年のピチカート解散後は、ソロアーティストとして多彩な活動を展開している野宮真貴。2012年にはデビュー30周年を記念してセルフカバーアルバム『30 ~Greatest Self Covers & More!!!~』を発売。各方面で話題を集めた。
■ デビュー52周年を迎えた平山みきがゲスト出演
驚かされるのが、彼女が結婚・妊娠・出産というライフイベントを経てなお、ファッショニスタとして支持を集めている点だ。2016年のエッセイ『赤い口紅があればいい いつでもいちばん美人に見えるテクニック』では、「この世の女性はみんな美人と美人予備軍。要は美人に見えればいいのです」と効率的に美人に見えるテクニックを披露。
『週刊文春WOMAN 2022秋号』では、ジェーン・スーや渡辺麻里奈とともに更年期について率直に語り合っていたのも印象深い。加齢を否定せず、かといって自然体でいいと開き直るわけでもなく、幾つになってもエレガントで美しい生き方を実践。多くの女性に勇気と希望を与えている。
今回のライブは、近年好評の渋谷系の楽曲を中心としたコンサートシリーズ。大阪公演では、『真夏の出来事』(橋本淳作詞・筒美京平作曲)などのヒットを飛ばし、今年デビュー52周年を迎えた歌謡界を代表するシンガー・平山みきがゲスト出演。野宮がどのような歌謡曲を選び、ゲストとパフォーマンスを繰りひろげるのか。音楽ファン感涙の夢の一夜となりそうだ。
日時は9月22日・夜6時〜/9時〜の二部制。料金はサービスエリア8600円、カジュアルエリア7900円。
文/井口啓子
『野宮真貴、渋谷系歌謡曲を歌う。』
日程:2023年9月22日(金)
時間:1st 18:00〜、2nd 21:00〜
会場:ビルボードライブ大阪(大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2)
料金:サービスエリア8600円、カジュアルサイド7900円
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