男闘呼組「今のために活動休止したのかも」再始動そして解散へ

2023年8月までの期間限定で再活動した男闘呼組のメンバー。左から岡本健一、前田耕陽、高橋和也、成田昭次 (4月28日・大阪市内)
■ 男闘呼組内でメンバーの自我が覚醒

──お話を伺ってると、4人それぞれがいろんなジャンルの音楽を聴かれているので、作られる楽曲の幅も広いですよね。シングル『エンジェル』(1991年)あたりからみなさんの手で作曲されていますが、この頃から楽曲の雰囲気がガラッと変わった感じもあります。
和也「やっぱり初期はマーク・デイビスっていう作家がいて、完全にプロデュースされた世界観で男闘呼組をやってたわけですけど。でもそれが世間の人たちにものすごい受け入れられて、ファンもそこで一気につかんだんだけど、自分たちでプロデュースするようになって、ホントの自分たちの姿がどんどん見えてきて」
──自我が出てきたときというのは、どの頃ですか?
耕陽「5枚目のアルバム『5−1 非現実』(1992年)くらいから、『みんなのやりたい方向性をもっと全面に出していこう』ってことになって、アルバムに入ってるのもちゃんと個性が出てる。それぐらいからじゃない?」
昭次「そのひとつ前の4枚目『I’m Waiting 4 You』(1991年)から全部自作曲のフルアルバム。それは試行錯誤しながら、まだ発展途上でね。4枚目のときは、模索しながらやってる感じだったんだけど、5枚目で結構炸裂したんですよね」
耕陽「あと、5枚目から聴いてもらえばわかるんですけど、シンセ音がほとんどなくなってるんですよ。僕が、『もうシンセやだ、オルガンかピアノだけにしようよ』って。それがライブをやるときはラク(笑)。音を作るのがキーボードは結構ややこしくて。オルガンとピアノだったらサクッとできるじゃんって」
──骨太の音色になるうえに、誤魔化しがきかなくなるじゃないですか。男前ですね。
耕陽「いやいや。でもメンバーもシンセ音より・・・」
和也「そう、わりと当時流行ってたサウンドよりもちょっといなたい、古い感じのサウンドが僕なんかは好きで。アコースティックギターとかどんどん弾きだしたりとかね。サウンドが、よりロックっぽくなっていった」
昭次「だから、すごいシンプルになりました。個人的にはコードは3つでも、1つでもいいじゃないかって思う」
──かっこいいですね。究極の曲作りですよね。
昭次「極論言っちゃえば、そういところまで突き詰めていけたらって始めたのかもしれないですね、5枚目は」
和也「あのときすっごい俺は楽しかったんだよね。アルバムを3枚作って、毎月1枚ずつ発表してとか(注)。今思うと、レコード会社も好きなようにやらせてくれたし・・・」
(注)1992年6〜8月に、『5−1 非現実』『5−2 再認識』『5−3 無現実』と3カ月連続でアルバムを発表
健一「友だちの曲のカバーをやったりとか」
和也「全然無名のシンガーなんですよ。そういう人のカバーをやったりとか。それが名作としてジャニーズJr.が歌い継いでるぐらいの曲になってて。だから、考えてみればあのときに作ったものは財産だよね。僕らにとって、今でも。あれがあるからこそ、今もみんなが音楽を、バンドを続けてる。それぞれソロでバンドを持ってますからね。だから、きっかけは男闘呼組時代にセルフプロデュースをやって、自分で曲も歌詞も書いて、作るっていうおもしろさに目覚めたのがきっかけですよね」
■ 新バンド「ロックオン・ソーシャル・クラブ」
──4人を中心に元ジュン・スカイ・ウォーカーズの寺岡呼人さんらと結成したバンド「Rockon Social Club」のアルバムも聴かせていただきました。このバンドの楽曲の幅広さもすごいですね。いきなり1曲目はメタル。
健一「デスメタルかって(笑)」
──めちゃくちゃカッコよくて。また、3曲目『Rolling Thunder Baby』のイントロのギターリフはディープ・パープルの『Burn』の雰囲気ですもんね。
昭次「そうそう(笑)」
──「めっちゃかっこええやん」って聴かせていただきました。その一方で、9曲目には『テ・キーラ・ムーチョ』があって。
和也「ラテン系のね」
──呼人さんがプロデュースされてるというのもあると思いますが、今日お話を伺って、いろんな音楽ジャンルに触れてきたみなさんの背景も影響あるんだろうと改めて感じました。
■ 50代で30年越しの再開「このための休止」
──ところで8月まで続く男闘呼組のラストライブツアーでのセットリストは、初期から後期までの楽曲をまんべんなく選ばれたのですか?
和也「そうですね。ごく初期の曲もやるし、ほんとに後期の曲もやるし。ただ、僕らが50代で出せる一番良いサウンドを届ける、それが自分たちでも一番納得できる」
健一「ラストツアーに曲を選ぶのに、まず100曲以上あるんですよ。結構良い曲がいっぱいあって。みんなで出し合って、どれも良いし・・・」
和也「僕らの好みばっかりになっちゃうといけないので、ファンの人たちが聴きたい曲ってどういう曲なんだって、例えばファンが選ぶベストテンとかベスト100とかをみんなで調べて、やっぱこの曲が人気あるよ、これは外せないよと。やりたい曲と、今の自分たちがカッコよくできるものと、ファンの聴きたいものをミックスしながらメニューを考えましたね」
健一「そういう曲を30年ぶりぐらいに、50過ぎて演奏をやるとね・・・。ホント20〜30年間いっさい演奏してなかったから、初心に返った感じで向き合うんですよね。ちゃんとね、フレーズの耳コピから始めて(笑)。これ間に合うのかな? っていうのか、できんのかなって」
昭次「当時もライブでやらなかった曲を今回やってるんですよ。10代〜20代のときもライブで再現しなかった曲を、まさか50代になって再現させられるとは(笑)。難しいって言うか・・・」
健一「そう。あと、これは今歌うべき歌なんじゃないかなって・・・。歌詞の内容だったりが早すぎた」
和也「早すぎた! 30年早いって、相当早いからね(笑)」
健一「88年にデビューしたのは、『今のためにデビューしたんじゃないか』『このために活動休止になったんじゃないか』って思いますよね、ホントに」
昭次「当時は、そのときの俺たちの年齢よりもませてた。だいぶ背伸びをした感じがあったんですよね。だから今回音を出す前は、若いときの曲を50歳過ぎて成立するのかって思ったんですけど、意外と逆だったんですよ」

──久しぶりに演奏するにも関わらず、歌詞はしっくりくるんですね。
昭次「今の方が。難しいんですけど、成立してる。曲と自分たちの距離感っていうか・・・」
健一「もちろん今のお客さんのなかには、昔ファンでいっぱい待っててくれた人たちもいるんだけど、当時は生まれてない人たちやコンサートを観たことがない男の人たちとか、アルバムは再販してないから初めて聴く人も多いと思うんですけど、ライブではそんなの関係無しにみんな楽しんでる。これは男闘呼組の楽曲の持つスゴさなのかなって。そこで助けられてるんですよね」
和也「僕らは4人が歌うから。ボーカルがひとりでひと色のバンドじゃなくて、4つの色を出せるっていうのが強み。それぞれが男闘呼組の活動を休止していた間の人生経験で、自分たちが経験してきたものを音楽のなかに投影できるじゃないですか。それがすごく良い感じで、昔は出せなかったサウンドになってるんじゃないかなって思うんですよね」
□
2022年7月に期間限定の活動再開を発表し、世間を賑わせた彼ら。同年10月に東京・愛知・大阪でのコンサートを終えた後、2023年4月の大阪公演を皮切りに『男闘呼組 2023 THE LAST LIVE』ツアーをスタートさせ、現在は全国22カ所を巡回している。そして解散公演『男闘呼組 LAST FOREVER』は、8月に「日本武道館」で4DAYS決行。一般発売は8月5日より。
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