２０世紀前半、歴史に残るコスメブランドの戦いを繰り広げた女性２人を描く『エリザベス・アーデンｖｓ.ヘレナ・ルビンスタイン -ＷＡＲ ＰＡＩＮＴ-』が、日本初演を迎える。初共演を果たす明日海りおと戸田恵子が取材会を開催。お互いの印象や、作品で描かれる「美」や「老い」というテーマについて語った。

■ 「私のことを知ってくださっているなんて」（明日海）

キュートなパッケージでヒット商品を連発するエリザベス・アーデンを元宝塚歌劇団花組トップスターの明日海りお、科学的アプローチで絶大な支持を得るヘレナ・ルビンスタインを、舞台やドラマ出演、声優など幅広く活躍する戸田恵子が演じる。

貧しい境遇から、独自の発想と行動力で全米屈指の化粧品ブランドへと押し上げた、女性創業者のライバル関係が見どころの本作。本格的な稽古が始まる直前の明日海と戸田は、共演を楽しみにしていたと打ち明ける。

「朝ドラの『おちょやん』でこの人は誰だろうとすぐ調べました」と戸田。明日海が宝塚歌劇団卒業後に出演したＮＨＫのドラマを観てインパクトを受けたと語り、共演が決まってからは明日海の舞台映像やインタビューもチェック。「やっぱりかっこいいなーと思いました。ビジュアル撮影で初めてお会いした時は、舞台の感じとは全然違う雰囲気で、とても華奢でギャップに驚きました！」と話す。

明日海は「幼い頃から（戸田が声優を務める）アニメや映画をよく観ていたので、私のことを知ってくださっているなんて思いもしなかったです」と笑顔。「戸田さんのブログを拝見すると、いろんな舞台を観に行かれるなどアグレッシブでパワフルな方だなと。これから役を作っていかれるのを、間近で見られるのが楽しみです」と高揚した様子で述べる。

■ 「執着や女性特有の闘い…いろんな面白みがある」（戸田）

女性でトップを走るのは難しい時代、エネルギッシュに突き進むアーデンとルビンスタインの生き方は、現代の私たちの大きな共感を呼ぶ予感。明日海はアーデンについて、「ヘレナさんへの敵意がむき出しで、気持ちいいぐらい素直。いろんなことをかえりみず、職に自分を捧げた、信念のあるかっこいい女性だなと思います」と印象を明かす。

戸田は「ヘレナ・ルビンスタインは自分が老いることに諦めきれない執着があり、化粧品を作っているからなのか、そういった女性独特の闘いもある。老いて１人になっていく･･･そこに向かって強く生きていく彼女の姿も描かれるので、いろんな面白みがあります」と、役を分析。

■ 「ドラマの女優さんは美に気を遣っている、私も必死」（明日海）

また、戸田自身は美や老いについて、「ある年齢を超えると、あらがってもしょうがない。むしろそれを楽しみ、開き直る気持ちになりました(笑)。若いときのほうがやっきになっていたかも」。舞台中心の活動を経て４０代で連続ドラマに初出演した戸田は、「テレビに出ている女優さんってすごくきれいで、いろんなことに気を遣っていることにびっくりしました。『そんなに歯を磨くんだ！』『日焼けをしないよう傘をさすんだ！』とか･･･」と言うと、明日海も深く同意。

「ドラマの女優さんは（スタッフから）とても丁寧に扱われていて、マッサージ器をあててもらうなど、美に気を遣っている世界なんだと知り、今私も必死に頑張っています」と、最近連続ドラマ『大病院占拠』にも出演していた明日海が語ると、戸田は「全然大丈夫よ！」と彼女の「美」に太鼓判を押した。

『エリザベス・アーデンｖｓ.ヘレナ・ルビンスタイン -ＷＡＲ ＰＡＩＮＴ-』は関西では５月２７日～２９日に森ノ宮ピロティホールで、６月８日～１３日に京都劇場で上演される。一般発売は４月３０日開始。

取材・文／小野寺亜紀　写真／石阪大輔