娘を殺された両親と加害者、魂の救済に挑んだアンシュル監督

インド出身のアンシュル・チョウハン監督
「顔がすごく印象的で。彼女の目は特別」
──カナダの少年法との違いがコルターさんの脚本には表れていて、そこは修正したと聞きましたが、カナダと日本の少年法というのはかなり相違点が多いのですか?
もともとコルターが書いてくれた原作は、カナダというよりは世界のどこでも使えるようなモノとして描かれてたんです。法廷のシステムというのはイギリスから来ているので、日本だけでなく、海外でも根底にあるものなんですね。
日本で撮影をすると決めたときに一番気をつけたというか、少年法とか法律の部分は国によって違うと思うので、そこは調べてきちんと法廷に赴いて、人がどういう風に座るのかとか着てるものや置いてある物は細かく調査しました。

──今回、加害者・福田夏奈を演じている松浦りょうさんが佇まいからして素晴らしい。金子由里奈監督の『眠る虫』(2020年)でとても印象に残っている女優さんです。
最初に彼女にお会いしたとき、顔がすごく印象的で。彼女の目は特別だなぁと思っていました。これは松浦さんだけではなくて、『コントラ』に出てくださった円井わんさんについても同様で、目がすごく好きだなぁというところからキャスティングさせていただきました。
松浦さんに関しては、お会いした当時は彼女に合う役がなかったんですね。ただ、この脚本を映画化するとなったとき、夏奈という役は松浦さんにお願いしたいと強く思って。オーディションに来ていただいて、最終的に彼女しかいないと。
──この『赦し』は、それぞれの登場人物が過去から逃れられない何かを抱いている映画だと思うんです。加害者・夏奈は自分がやってしまったことに対して悔やんでいるとともに、過去に仕掛けられた仕打ちに対して私は間違っていなかった、と煩悶しつつ牢獄で暮らしてきた。
そうですね。
──そして、被害者の父・克(尚玄)は娘が殺された7年前から時間が止まって、その恨みとアルコールを糧に生きている。元妻・澄子はやっと平穏を取り戻せたのに・・・とは言うものの、その実やっぱり逃れられていない。
やはり過去から逃れるというのは難しいと思うんです。それはこの映画で大事な要素です。と同時に、3人それぞれの状況だとか、彼らなりのシチュエーションというのがある。それも誰かに寄り添うというような形にはしたくなかったので、監督として、いつも中立の状態で3人のキャラクターに向き合いたかったというのがありました。

──この3人に加え、澄子と再婚した直樹(藤森慎吾)もいます。澄子とはグループセラピーで出会った設定で、直樹の過去は分からないんですけれども、そのトラウマをセラピーで克服したと思い込んでいる。だから妻も僕と一緒になれると信じている。そのあたりの3人プラス1人の関係性が僕はすごく面白かったんです。
(夜中、独りでワインを飲む澄子が泣き崩れる)あのシーンで澄子が直樹に対して、「あなたは何も分かってないのね」と言うところは、もう本当に澄子が今まで克と何があったかというところに関しても直樹は何も分かってないんですね。直樹は「君はすごく良い人なんだよ」と言うものの、彼女は自分がどれだけ悪い人間だったか分かっている。
その意味を込めて「あなたは何も分かってないよね」という風になったんです。ただ、それと同時に彼女が抱えるフラストレーションも表れていたと思うんですね。こういう状況で克と一緒にいるということはそういうことじゃないの? どうしてそれが分かってないの? というような。
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