原恵一監督「職人的な感覚で、原作の印象を壊さずに映像化」

アニメーション映画『かがみの孤城』の原恵一監督
◆「原作の印象を壊さずに映像化しようと」
──オープニングのシーンのこころは、真っ暗で地面も濡れているようなトンネルのなかを歩いているようでした。
あれは僕の実体験でもあります。僕も、ああいう気持ちで歩いたことがありました。
──それはいつ頃のことでしょうか?
『クレヨンしんちゃん』の映画は、いつもギリギリのスケジュールで作っていたので、絵コンテの追い込み時期になると、本当にああいう気持ちで歩いていたんです。硬いアスファルトの道路を歩いているはずなのに、足がめり込んでいるような気がしていました。それを今回の映画で絵にしました。
──監督もあのように暗い気持ちで歩いたことがあるんですね。今まで監督が手がけられた『クレヨンしんちゃん』シリーズや『カラフル』(2010年)をはじめ、本作もそうですが、原作がある作品をアニメーション化する際はどのようなことを意識してらっしゃいますか?
僕は今まで、完全にオリジナルの作品は作っていません。何かしらの出発点として原作の存在がありました。だから、『クレヨンしんちゃん』にしても、物語は自分で考えていますが、原作のしんちゃんの家族や関係性を守って膨らませています。そういうところから膨らむものこそ、オリジナルよりも豊かな物語を生むような気がしています。

──『河童のクゥと夏休み』(2007年)も、この取材前に10年ぶりぐらいに拝見しましたが、原作にはない描写も多いうえに、人間の醜さをしっかりと描写していたことに驚きました。
『河童のクゥと夏休み』は、原作と比べるとだいぶ違うと思います。僕は、江戸時代に生きていた子どもの河童がひとりぼっちで現代に蘇るという木暮正夫さんのアイデアが、ものすごく素晴らしいと思いました。そこにすごく刺激を受けて、いろんな物語が自分のなかで膨らんでいきました。
──どのように膨らんでいくのでしょうか?
現代のどこかで河童が生きていたのが見つかった話ではなく、江戸時代という今の我々とは全然違う生活をしていた時代に生きていた河童が現代に蘇る、と。それも河童だったらあり得る設定ですし、しかもそれが子どもの河童だとしたら。

江戸時代と現代の変化をどのように見るだろう、と。クゥという子どもの河童の視点から現代を見た物語にしたら面白いと思いました。
──今回もそういう視点はあったのでしょうか?
今回は、『本屋大賞』を獲った170万部も売れている原作で、その映像化を期待して観に来る人が多い映画だと思ったので、今回は職人的な感覚で、なるべく原作の印象を壊さずに映像化しようと思いました。自分のキャリアを活かして原作の印象を変えずに映画にすることが、今回の一番のミッションだと思っていました。
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