野田地図×クイーンの傑作、大阪開幕で体感する「熱狂」の真実

左から志尊淳、広瀬すず。NODA・MAP第25回公演『Q』: A Night At The Kabuki(撮影:篠山紀信)
演出家・野田秀樹率いるカンパニー「NODA・MAP」の、世界的ロックバンド「QUEEN」の楽曲を使った舞台『「Q」:A Night At The Kabuki』の再演版が、ついに大阪で開幕。「1度だけでは足りない、2〜3度観て腑に落ちる」という、熱狂の作品をレポートしたい(以下少々ネタバレあり)。
2019年に初演を迎え、2022年は再演版を引っさげ東京やロンドン、大阪、台北(10月25日〜)の世界ツアーとなった本作。日本公演はもちろんのこと即完売、またロンドン(『A Night At The Kabuki』)でも演出を一切変えずにおこなったが、「歌舞伎」という海外でも馴染みのあるわずかながらのヒントを背景に、日本カルチャーへの想像はきちんと膨らんだよう。海外メディアでの劇評でも「Bravo(素晴らしい)」と上々だ。

■ 「ロミオとジュリエット」がもし生きていたら・・・
ストーリーは誰もが知る名作『ロミオとジュリエット』を、激しく対立する源氏と平家に置き換え、もしも彼らが生きていたら・・・と「その後」が描かれる。激動の渦中のロミオこと瑯壬生を演じるのは志尊淳、そして「それからの瑯壬生」を演じるのは上川隆也、またジュリエットこと愁里愛には広瀬すず、「それからの愁里愛」には松たか子と人気・実力ともにトップクラスな役者陣が揃い踏み。
志尊や広瀬らの透明感あふれるフレッシュな演技力に絡み合う、ベテラン陣の気迫漂うパフォーマンス。またそんなキャラクターたちのなかには橋本さとし、竹中直人、また野田秀樹などといった揺るぎない枠組みで縁取られているのも同作の見どころで、彼らの演技が壮大なクイーン楽曲の世界観に染まるというよりも、ともに手を組みながら新境地へ向かっているといったところだろうか。

■ 野田秀樹×クイーン、世紀のコラボレーション
そもそも「生のパフォーマンス」がおこなわれる劇場で、彼らの音楽を聴くこと自体がこの時代ではほぼ不可能なのだが・・・そこにクイーン側から「伝説のアルバム『オペラ座の夜』(1975年)を好きなように使って、日本を舞台にした演劇ができないものか?」との提案により、彼らの音楽性にも新たな息吹が吹き込まれた本作。
主演の松たか子もそんな楽曲について、「クイーンの曲をそのまま使うだけじゃなく、ギターやドラムの音だけ取り出して使うといったこともされていて、まさにコラボ。それをクイーンのチームも楽しんでくださったというのは、なかなかないこと」と、コメントしている(公式インタビューより)。

曲の持つ鮮烈なメッセージ性を効果的に使うことで、互いの主張を共存させる同作。例えば、クイーンの代表ソング「ボヘミアンラブソディ」では運命を定められた歌い手が「ママ、たった今人を殺してしまった。人生が始まったばかりなのに、すべて台無しにしてしまった(訳)」と歌う箇所がある。
そんな劇的な歌詞と一緒に見せられる、若き瑯壬生の戦闘シーンといったら・・・クイーンの壮大な世界観のもと、運命に翻弄されるキャラクターたちによって、ロマンティックかつ容赦なく残酷なストーリーが繰り広げられる。「お涙ちょうだい」といった単なる悲劇のラブストーリーでは終わらせない同作品は、まさに気鋭の才能がぶつかり合う瞬間を目撃しているよう。
■ 「これだったのかと、涙が出た」
東京公演を経て、大阪公演の中盤に差し掛かり、SNSなどでは「これだったのかと、涙が出た」「ずっとあの世界に入り込んでた。すごい世界に連れて行かれました」「強烈な衝撃」「1度だけでは足りない、2〜3度観て懐に落ちる」と続々と感想が寄せられており、後半戦の大阪公演、また最終地点となる台北での上演にも期待が高まるばかり。

大阪公演は10月16日まで「大阪新歌舞伎座」(大阪市天王寺区)にて上演。前売りチケットはすでに完売しているが、同公演期間は当日チケットが発売されている。各回60分前より劇場正面入り口にて、席・立見の2種が販売される。価格はS席1万2000円、3階立見席4000円、サイドシート5700円など、詳細は公式サイトにて。
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