「1917」監督の傑作、日本での上映が終了…京都でフィナーレ

7月22日〜27日に「アップリンク京都」で上映される『リーマン・トリロジー』
演劇の地・イギリスで上演された舞台のなかから、年間ベスト級の作品を映画館で観劇できる特別上映会『ナショナル・シアター・ライブ(以下NTL)』。「舞台芸術のアカデミー賞」と言われる『トニー賞』で、今年の演劇部門の主要な賞を独占した『リーマン・トリロジー』が、7月22日~27日に「アップリンク京都」(京都市中京区)で上映される。
ダニー・ボイル演出&ベネディクト・カンバーバッチ主演の『フランケンシュタイン』や、『ハリー・ポッター』のダニエル・ラドクリフ主演の『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』など、映画界のスターたちが関わった作品もかかることが多いNTL。『リーマン・トリロジー』は、映画『アメリカン・ビューティー』『1917 命をかけた伝令』の監督としても知られる、サム・メンデスが演出した舞台だ。
題材となっているのは、2008年に「リーマン・ショック」という金融危機を引き起こした、アメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ」の、3世代に渡る歴史。欧州からアメリカに移住したリーマン3兄弟とその子孫が、それぞれ商才を発揮して巨大企業へとのし上がり、やがて破綻を迎えるまでの、約150年間の栄枯盛衰を見せていく一大叙事詩だ。
・・・なんて書くと、非常に固い話に思えるだろうが、本作の見どころは、この壮大なストーリーを、たった3人の俳優、1台のピアノの生演奏、ガラス箱の回転舞台という、最低限の要素だけで存分に描き出したことだ。俳優たちは何十人もの老若男女を、テンポよく演じ分けて物語を展開。たとえるなら、母子3世代の歴史を描いた前回の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』を、主演の3人だけで、セットをほぼ変えずに見せきったようなものだろう。

ストーリーの方も、漫才さながらのユーモラスなやり取りもあれば、通りすがりのような人物が、のちに会社の命運を握る存在になるなど、巧妙な伏線に驚かされたりも。また単なる一企業の歴史というより、「銀行」というシステムがいかに発展したか、世界恐慌が社会をどう変えたのかなど、19世紀末~21世紀の経済史という側面もあるのだ。実際イギリスでは、演劇ファンだけでなく金融関係者の間でも評判になったという。
また本作は、7月いっぱいで日本での上映権が切れるので、この上映が日本最後となる可能性が高い。上映時間は221分とかなりの長尺だが、舞台と同じタイミングで休憩が2回はさまれる。普段演劇を観ない人も、映画館なら気軽に「観劇」できるというのも含めて、この歴史的な傑作を目撃してほしい。
チケットは特別料金で、一般3000円、22歳以下・障がい者2500円。上映開始時間は後日発表。
文/吉永美和子
『リーマン・トリロジー』
原題:THE LEHMAN TRILOGY
作:ステファノ・マッシーニ
翻案:ベン・パワー
演出:サム・メンデス
主演:アダム・ゴドリー、サイモン・ラッセル・ビール、ベン・マイルズ
上演劇場:ピカデリー劇場(ロンドン)
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