西谷弘監督「映画には、小説を読むような『深み』が必要」

2022.7.10 09:00

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』でメガホンをとった西谷弘監督

(写真6枚)

ドラマ『白い巨塔』や『ガリレオ』シリーズを演出し、今では映画監督としても活躍する西谷弘監督。そんな彼が次に手がけるのが、ディーン・フジオカと岩田剛典がバディを組み、数々の難事件を解決するドラマ『シャーロック』の劇場版『バスカヴィル家の犬  シャーロック劇場版』だ。ホームズ・シリーズの最高傑作をモチーフに、どんな演出術で魅せるのか。西谷監督を映画評論家・ミルクマン斉藤が直撃した。

取材・文/ミルクマン斉藤

「ドラマと映画の棲み分けしようと」(西谷監督)

──西谷監督がこれまで手がけてきた映画『容疑者Xの献身』(2008年)、『任侠ヘルパー』(2012年)、『昼顔』(2017年)、そして『マチネの終わりに』(2019年)など・・・。どれも大好きでして。

ありがとうございます。光栄です。

──もちろんテレビドラマも拝見していましたが、やはり劇場版になったときの、実に映画らしさと言いますか。『ガリレオ』シリーズは特に顕著でしたが、ドラマとは明らかに違った西谷流のアプローチにシビれていまして。

『ガリレオ』シリーズのときに初めてドラマの映画化(『容疑者Xの献身』)をやらせてもらったんですけれども、だいたいドラマが当たったら映画化というのが多いなかで、あれは初めから映画化のプロジェクトとして決まっていたんですね。

──あのシリーズはそうだったんですね。

ですから、自分のなかでドラマと映画の棲み分けしようと。これは私的な考えですが、ドラマというのはちょっとマンガを読むような気楽さと言いますか、次の日に学校や会社で流行る「ライト」な感じ。一方、映画というのは小説を読むような「深み」が必要だなと思ってまして。

© 2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

──それも作品によって、意識的に変えられてますよね? 今回の『バスカヴィル家の犬』は、どちらかというとドラマ寄り。特にディーンさん演じる誉獅子雄と岩田さんの若宮潤一、テレビシリーズから続くこの2人関係性に重点を置いていて。むしろスクリューボールな掛け合いが前面に押し出されています。

そうですね。シャーロック・ホームズの『バスカヴィル家の犬』(アーサー・コナン・ドイル)をモチーフにして映画化するというので緊張感はあったんですよ。やっぱりミステリーの総本山ですし。『ガリレオ』シリーズだと元々が現代劇で、トリックの科学技術も最先端だったりするので。

──あれは、翻案(既存の作品を原案・原作として、新たに別の作品をつくること)ではないですからね。

そうですね。そもそも120年前の原作で、舞台もヨーロッパ。それを映画化するにあたって、時代設定を現代、それも日本というものに変えたときの難しさは痛感していて。一度、設定を大正時代とかで考えたんですよ。ドラマからガラッと変えて、現代から物理的にも遠ざけようかと。

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』予告

──いわゆる、「横溝正史」的な感じですね。

そうです。時代設定も含めて、和洋折衷な大正スタイルの方がディーンさんは映えるんじゃないかなとか。だから、佐々木蔵之介さん演じる刑事にサーベルを持たせたら、とか。そういうのも含めていろいろ考えたんですけれども。でも、やっぱり現代でいこうと。

──ホームズの映画化やドラマ化は世界中にいっぱいありますが、ディーンさんと岩田さんの軽妙な掛け合いを楽しみにしているファンはかなり多いと思うんですね、僕を含めて。だからこそ、劇場版もその延長戦上にあるのが良かったと思います。

そうですか? じゃあ良かったです、安心しました(笑)。

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』

2022年6月17日公開
監督:西谷弘
出演:ディーン・フジオカ、岩田剛典、ほか
配給:東宝
© 2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

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