女性からの嫌われ役？小野田龍之介が捉える「クリス」の男像

2022.6.12 20:15

ミュージカル『ミス・サイゴン』でクリス役をつとめる俳優・小野田龍之介

(写真3枚)

ベトナム戦争下で引き裂かれた男女の運命を描く、名作ミュージカル『ミス・サイゴン』。２０１６年から、ヒロイン・キムと恋に落ちるアメリカ人男性・クリスを演じている小野田龍之介が、６月６日におこなわれた取材会で、自身が捉える「クリス像」について語った。

１０歳の頃からミュージカルの舞台に立ち『テニスの王子様』『フィスト・オブ・ノーススター～北斗の拳～』などの人気作品に出演している小野田。『ミス・サイゴン』も長年観ていたそうで、初めてこの舞台に参加したときは「すごく不思議な感覚だった」と語る。

「『ミス・サイゴン』は途中（２０１２年）から新演出になっていたので、固定概念にとらわれず、まっさらに作品に取り組むことができました。でも自分がよく聞いていた歌詞を、実際にクリス役として歌うというのは奇妙な感じがしたし、何十年も上演され続ける演目にたずさわるからこその、面白い経験だと思いました」と振り返った。

演じるクリスは、はたから見ると「キムを捨てて、別の女性と家庭を作る」という立ち回りをするため、ヒロインの相手役にも関わらず、特に女性からの評判が悪いキャラクターだ。そこで小野田は「『この時代だからこそ選んだ道』と思える引っ掛かりを作りたい」と言う。

「舞台では語られないけど、クリスはきっといろんな懺悔の思いを抱えた人だと思うんです。そこでまっさらな少女のキムと出会い、この子を救うことが、自分の贖罪になると考えたのでは。だからラブラブというよりも、守り抜く覚悟と使命を持った愛。そのエネルギーがちょっとでも違う方向に行くと、チャラチャラした男と思われるんじゃないかな」と、自分なりのポイントを明かす。