女優・萩原みのり、壮絶な役で注目も「また孤立させられる」

出演作が相次ぐ注目女優・萩原みのり
主演作『成れの果て』や『お嬢ちゃん』、『街の上で』といった話題作への出演が相次ぎ、「TOHOシネマズ」では異例の特集上映が組まれるなど、今最も注目される若手女優・萩原みのり。
そんな彼女の最新作は、実際に起きた幽霊団地事件を基にした考察型恐怖体験ホラー映画『N号棟』。死恐怖症(タナトフォビア)を抱える主人公の女子大生を演じた萩原みのりに話を訊いた。
取材・文/華崎陽子 写真/木村正史
「生と死の境目を見た気がしました」(萩原みのり)
──興味本位で廃団地に同行したものの、そこで次々と怪現象に見舞われ、心理的にも追い詰められていく女子大生・史織。どのような心理状況で演じてらっしゃいましたか?
団地に入ってからは、演じようとは考えていませんでした。その場の流れに身を任せて目の前で起きたことをただ見て感じて、リアクションをするような感覚でした。どうすれば面白いかとはまったく考えていませんでした。
──撮影はなかなかハードだったと思いますが、実際に完成作を観たときはどのように感じられましたか?
基本的に自分が出演した作品は、3〜4年くらい経たないと客観視できず、演じたときの気持ちのままでしか観られないんです。浮き沈みが激しい役をやると、現場では何日もかけてそれを撮っているのに、映画になるとその感情を2時間ずっと追いかけることになるので、現場よりも疲れる気がします。今回は特に疲れました(笑)。
──本作での怒涛の展開は、心理的にも疲れそうですね。
観てくださる方の気分や体調によっても違うと思いますが、「とにかく元気な日に観てください」と言っています(笑)。そこだけが公開前から心配しているところです。
──史織が自分の気持ちを吐き出すラストでは、激しい感情表現を求められたと思いますが、そこはどうでしたか?
最後のシーンは、6時間ぐらい撮影した後の長回しのワンカット撮影でした。このカットで終わる空気が現場に流れていた気がします。だから余力を残さなくていいと思っていましたし、私自身も正直立つことができず、カットがかかっても床に倒れ込んだまま動けなくて。「もうこれで終わりにしてくれ〜」という気持ちにいろんなものがリンクして、お芝居だけではない何かが生まれた感覚がありました。
──萩原さんの表情もどんどん真っ白になっていましたね。もはや演技とは思えないほどでした。
本当はメイクさんと、後半にはメイクで顔色を白くしようと話をしていたんですが、勝手に血の気が引いていって。半分ドキュメンタリーのような感じでした。だから、ちゃんとお芝居ができたのか考えると、反省した方がいいのかな?と思うくらい。

──唇の血色もほとんどなかったですよね。
血色が悪いと言うか、白いですよね(苦笑)。よくこんな画が撮れたなと思います。完成した作品を観たときに、他人事のように「あれ? 私死んだ?」と思ったくらい。不思議な感覚でした。自分が死んだ瞬間って絶対に見られないのに、生と死の境目を見た気がしました。あの状態であれだけのセリフをよく言えたな、と。
──撮影中のことをまったく覚えていないというのは驚きですね。
今までは激しい場面でも、カメラの位置や動きはちゃんと認識できてましたが、『N号棟』の後半は、全然わからなくなることもありました。ずっと地べたに座らされて、みんなに蹴ったり殴ったりされるんですけど、もう疑似体験でもしんどかった。自分が人間じゃなくなったように感じたし、みんなが敵のように思えてきて。お芝居なのに、なんで私のことを蹴るんだ! ってなるんです。
──追い詰められたことで、精神状態が演技を超えてきたという。
床は冷たいし、ずっと暗いから、時間もわからない状態で。後で聞いたら6〜7時間撮っていたらしいんですが、異様な空間に自分が異物として存在していて。初めてカメラが回っていないときにも泣いていましたし、精神が壊れた瞬間を味わったような気がしました。あのとき、史織が感じたことと同じことを私自身も感じていたように思います。
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