純名里沙、バースデイ・ライブで実感「新しい自分が誕生した」

「ビルボードライブ大阪」でバースデイ・ライブをおこなった純名里沙(3月15日)
「宝塚歌劇団」ではトップ娘役として人気を博し、退団から25周年を迎える純名里沙。1994年には朝の連続テレビ小説『ぴあの』(NHK)で主演を務め、その後もテレビ、映画、舞台、ラジオなどで幅広く活躍。
近年はショーロ・クラブのギタリスト、笹子重治とのデュオによるアコースティック公演を全国各地で開催し、歌手としてよりインティメイトな魅力を追求してきた。そんな彼女に歌への思い、そして先日おこなわれたバースデイ・ライブについて話を訊いた。
取材・文/吉本秀純
■ ギタリスト・笹子重治との出会いから10年
──現在のシンガーとしてのスタイルを確立していった経緯について聞かせてください。東日本大震災の後にショーロ・クラブに傾倒し、そのギタリストの笹子重治さんに共演を直々にお願いしに行ったことが大きな転機になったと思いますが。
はい。当時、沖縄に住んでいた友人にもらった音源がきっかけで、笹子さんのギターの音色に惹かれて。また自分がこれまで好きだった歌手の方の曲をピンポイントで並べたら、偶然にその録音のギター奏者も笹子さんだったということがあったんです。それで私のなかで勝手に点が線となりまして、「このギターの方の音と一緒に歌いたい!」と思いたち、ライブを観に伺った際にオーディションをしてくださいとお願いしました。
──ショーロ・クラブの音楽のどういった点に惹かれたのですか?
そのときの私の状況、心情もあるのですが、決して派手ではないのに、包容力と繊細さを併せ持って寄り添ってくれるような音楽にとても癒やされました。ライブでもマクロな広がりがあるのに、演奏者はたった3人だけという凄さや、音で会話される「予定調和」でない生きたアートのような演奏との出会いは初めてだったので、のめり込みました。
──純名さんといえば、本格的なオペラなども歌いこなす歌唱力の高さで知られていましたが、ボサノバや穏やかなブラジル音楽で多い囁くような(ウィスパー系の)歌い方というのは、ある意味で対極にあるものだったのでは? と思います。そこで、笹子さんのギターを伴奏に歌うなかで学んでいったことなどを訊かせてください。
おっしゃる通り、最初まず歌う音域を下げ、普通に会話するような歌い方ができるようになるまでは、かなり時間がかかったと思います。それこそ部活のように練習しました(笑)。ですが方法が違うだけで、表現する気持ちは同じ。「宝塚歌劇団」で大劇場に立っていた際に、朝ドラのヒロインをさせていただいたときに感じたことと、ある意味で同じだと気付きました。あのときも2千人以上のお客さまに伝える演技と、目の前のカメラを通してお茶の間に届ける演技の違いを学ばせていただいたので。
小さく歌う方法を身体で取得してからは、大きく広げる歌い方を喉の筋肉が忘れないように、クラシックの発声も意識して習いに行ったりして両方を行き来できるように心がけています。また、ライブは常に同じ大きさの会場で歌えるわけではないので、その大きさに合わせた歌い方、届け方も意識するようにもなりました。笹子師匠のおかげですね。

■ マスクからはみ出る笑顔に幸せを感じたバースデイ・ライブ
──そして、3月15日には「ビルボードライブ大阪」にてバースデイ・ライブがおこなわれました。今回のライブの選曲や、名手が揃ったバックのメンバーなどについてお願いします。
今回は「宝塚歌劇団」を卒業して25周年ということもあり、今までの人生を振りかえりながら、春という季節感も意識して、みなさまが楽しんでいただける構成を心がけました。やはりコロナ禍が長引いているので、私も含めてですが、なかなか楽しめるイベントに参加できない状況だと思ったので、とにかく楽しんでいただきたい、という気持ちが強かったですね。
それが功を奏したのか、大阪という地元の空気感がそうさせてくれたのか、もしくはやっとこれまでの経験が身を結んだのか分かりませんが、ステージの上でこれほど自由に自分を開放でき、ミュージシャンのみなさまと「音楽」で会話できたライブとなり、何よりいつも厳しい(笑)共演のみなさまが、口々に「いいライブだった!」と終演後に開口一番、声をかけてくれたのは本当にうれしかったです。

──ピアニストの榊原大さんとは今回の共演が初めてだったと伺いました。
そうなんです。榊原さんとは初めてだったのですが、チェリストの柏木広樹さんと大学時代からの仲ということでしたし、とても自然にコラボレーションさせていただけてうれしかったですね。私は耳だけはいいので(笑)、素晴らしいミュージシャンの方々の大好きな「音」に最初からゾクゾクしながら歌わせていただけて、本当にあたたかい地元のお客さまの、マスクからはみ出る笑顔や大きな拍手のなかで幸せを感じながら歌わせていただき、このうえない至福の時間となりましたこと、この場をお借りして改めて心からお礼申し上げます。
同じステージでも演劇やミュージカルでは1カ月以上の稽古期間とゲネプロとして1日以上の舞台稽古があり、何より台本があり、演出家がいてくださる。同じ舞台でも裸一貫のような、本当に全く異なる「ライブステージ」での自分の在り方、向かうべき気持ちのベクトル、さまざまなことを散々悩んでここまできましたが、まさにミュージシャンとしての新しい自分が誕生した、バースデイなライブとなりました。
本当にコロナ禍でいろいろと心配ななかでしたが、おかげさまでライブをさせていただけて良かったと、心から思えたうれしい日となりました。バンマスをこの度も務めてくださりほとんどの曲でアレンジを手掛けてくださったギタリストの笹子重治さん、共演の柏木広樹さん、榊原大さん、「ビルボードライブ大阪」さんの素晴らしい環境と、ご来場いただきましたたくさんのお客さまに、こころより感謝申し上げます。
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