一人芝居の名手・イッセー尾形「現代は想像と出合い直す時期」

2022.3.2 06:45

一人芝居の名手・イッセー尾形(2月28日、大阪市内)

(写真4枚)

映画化もされたドラマ『太陽の子』(NHK)を始め、映像界でもその演技が賞賛される、一人芝居の名手・イッセー尾形。毎年恒例となっている「近鉄アート館」(大阪市阿倍野区)での公演が、今年も開催が決定し、2月28日に大阪市内で会見がおこなわれた。

夏目漱石などの文豪の名作をベースした作品を、7年前から作り続けてきた尾形。しかし2021年はコロナ禍に触発され、さまざまな立場の現代人たちの「不条理だけど妙に笑える生活」の1コマを描き出す7本の短編を披露した。今回はその7本に、日替わり新作1本を加えた計8本を上演する。

「アート館は僕にとって、大いなる実験場。『こんなもの(新作)が生まれました。立ち会ってください』という場所です」と評する尾形。今回あえて再演をすることについては、「ここで生まれたネタが、1年かけていろんな人に観てもらって、育った姿を観てもらおうと。シャケが帰ってきたようなものです(笑)」と、その狙いを語った。

関係者内で新型コロナのクラスターが発生し、中止や延期になる演劇公演も少なくない昨今。1人きりの舞台は「その心配がないという意味では、優良ですね」と笑いつつ、現代における一人芝居の必要性を、ますます感じているという。

「スマホとかテレビで、あらゆることが現象として現れる時代だから、みんな想像をする暇がないんじゃないかと。今は現代人が、想像と出合い直す時期だと思います」と分析したうえで、「一人芝居は、AとBが言い争うとしても、Aしか出てこないから『Bはどういう人なのか?』と想像を働かせることで成り立つ。想像力を学ぶのには、本当に打ってつけです」と、その意義を語る。

先日2月22日に、70歳になったばかり。今後の抱負を問われると、「やり残しがないようにすること」とキッパリ。「(やれるのは)あと10年ぐらいだと思うから、やり残さないためにはどうするか? と、強烈に考えますね。でもドーン! とデカいことをやるなんて無理だから、今まで通り『今の時代の庶民は、こんな意識を奥底に持っているだろう』ということを妄想して、ちゃくちゃくと演じていきたいです」と、変わらぬ意欲を見せた。

『イッセー尾形の妄ソー劇場 その5』は、4月13日〜17日に「近鉄アート館」で上演。料金は5500円で、チケットは現在発売中。

取材・文/吉永美和子

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