「猫様用」の顔はめパネルが美術館に、SNSでも投稿続々

2022.2.20 15:05

苦戦して撮影、おやつ必須

(写真2枚)

観光地や名所など、旅行先でよく見かける「顔はめパネル」。その「猫用の顔はめパネル」が京都の美術館にあると話題になっている。

その美術館とは、展覧会『トラ時々ネコ 干支セトラ』を開催中の「福田美術館」(京都市右京区)。件のパネルは絵師・円山応挙筆の『虎図』の虎の顔部分を切り抜いた仕様となっており、A4サイズの持ち帰り「顔はめ用紙」も用意があるほか、同施設の公式サイトからダウンロードが可能

愛猫家たちがこれを見逃すわけはなく、SNSでは「猫様用顔はめ」にチャレンジした投稿が続々とアップ。これはとんでもない癒やし現象・・・パネル制作の経緯が気になる! ということで、「福田美術館」に話を訊いた。

──毎日SNSの顔はめ投稿を見ては癒やされています。「猫用顔はめパネル」制作のきっかけはなんでしょうか。

『トラ時々ネコ 干支セトラ』展にちなんで、猫に関連したイベントをしたかったのですが、コロナの影響での実施が難しく・・・。今回の展覧会に「ネコみたいなトラ」の作品があったので、「虎の作品の顔部分を猫にしてしまうのはどうか、人間じゃなくて猫用の顔はめがあったら面白いかも!?」と思いついたのがきっかけです。

──作品がはじまりだったのですね。顔はめに使用されているのは円山応挙筆『虎図』ですが、選定のワケは?

江戸時代の画家は実際の虎を見ることができず、中国の絵画や虎の毛皮などを参考に虎を描きました。写生を重視してリアルな画風を目指した円山応挙は、生体として猫を参考に「虎図」を描いたと言われています。

結果、ずっと丸いはずの虎の瞳孔は昼間の猫の目のように細く描かれ、ポーズも猫っぽい虎・・・「ネコトラ」のような作品が生まれました。今回の展覧会では、そんな江戸時代と、実際の写生が可能になった明治以降の対比にも注目していただきたいので、江戸時代のネコトラとして最もわかりやすい応挙の『虎図』を選びました。また、猫の顔がはめやすい構図だったのも理由のひとつです。

──確かに、お座りしている猫のようにも見えます。公式サイトには、「散歩猫」や「旅猫」向けというワードが記載されていましたが・・・顔はめ状況はどうでしょうか?

最近、SNSで旅したりお散歩したりする猫が人気なので・・・。とはいえ、お散歩猫がそんなにたくさんいるとは思えませんので、どちらかというとシャレで設置しました(笑)。でも、スタッフの猫ちゃんで試作をしたので、猫に合わせて高さが調節できるなど、実際に使いやすい仕様になっています。今のところ顔はめした猫は2匹で、小型犬の方が多いかもしれません(笑)。

──今後も撮影にチャレンジする方もいらっしゃるかと思います。お家で撮影するコツなどがあればアドバイスお願いします!

美術館スタッフやチャレンジした人の話を聞くと、印刷したものを段ボールなどに貼ってから穴を開けた方が撮影しやすいようです。また、猫用おやつを使うと顔は出しやすいとのこと。実際、公式サイト用の撮影もスタッフの猫にやってもらったのですが、おやつのおかげでいい顔が撮れました。

──最後に、「ネコみたいなトラ」の作品も楽しめる本展の見どころを教えて下さい。

やはり1番の見どころは、江戸時代と明治以降の対比です。そのほかにも、干支の動物が揃ったり、猫の絵も多数展示しています。現代アートや教科書に出てくる西洋の画家に比べ、ハードルの高そうな日本画ですが・・・「福田美術館」のコンセプトは、「美術に詳しくない方が来ても楽しんでいただけるように」です。キャッチーでわかりやすい解説や虎人気投票コーナーなどもあり、どなたでも楽しんでいただけるかと思います。

価格は、一般1300円ほか。4月10日までの開催(前期1月29日~3月7日、後期3月9日~4月10日)、時間は朝10時〜夕方5時(最終入館は夕方4時30分まで)。毎週火曜日、3月13日休館。

取材・文/姫田芳

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