堤幸彦監督「自分で評価できない作品を世に出しても仕方がない」

2022.1.8 09:00

自主映画『truth~姦しき弔いの果て~』を発表した堤幸彦監督

(写真3枚)

ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)、『TRICK』『ケイゾク』シリーズなどで知られる堤幸彦監督。多数のヒット作を手がけてきた堤監督だが、一方でこのコロナ禍により厳しい現実に直面。「どう食いつなごうか・・・」と考えるほど苦境に立ちながら、50本目の映画監督作を完成させた堤監督に話を訊いた。

取材・文:田辺ユウキ

「コロナ禍で積み上げてきたものがゼロに」(堤幸彦監督)

──堤監督の前作が、嵐のコンサート映画『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』(2021年)。そして今回の『truth〜姦しき弔いの果て〜』はいわゆる自主映画。予算感、規模感などの振り幅がすごいですね。

でも、違いはそれほどありません。ひとつひとつは同じなんです。『5×20 FILM』では(ライブ演出担当の)松本潤さんの意図をつかむのに時間をかけ、カメラがどれだけあっても追いきれないものがあると分かれば、さらに手間暇をかけていった。そういう過程は、50人しか観ない企業用VTRも、この『truth』も一緒です。だけど今回は、これまで以上に「映画を作りたい」というシンプルな気持ちが貫かれています。

──と、言うと?

コロナ禍で積み上げてきたものがゼロになり、金銭面でも苦しい状況に立たされました。そんななか、大勢の人に頼れない状況でも映画は作れるということ、そしてその大切さを主演・プロデューサーの広山詞葉、福宮あやの、河野知美の3名には教えてもらいました。文化庁への補助金申請に始まり、撮影、編集、宣伝活動、パンフレット制作まで、みんなで一緒になってやっていますから。学園祭みたいな感覚ですね。

──ヒットメーカーの堤監督の口から、「金銭的に苦しい」という言葉を聞くとは思ってもみませんでした。

撮影予定だった作品も何本か中止になり、呆然としました。「アルバイトをして、食いつなごうか」と考えました。私ひとりならそれでも良いですが、会社(オフィスクレッシェンドの取締役)もありますし。そんなときだからこそ、天から仕事を降ってくるのを待つのではなく、なんとしてでも仕事を勝ち取り、映画を作っていくパワーを付けていかなきゃいけないなって。

© 2021 映画「truth~姦しき弔いの果て~」パートナーズ

──今回の『truth〜姦しき弔いの果て〜』は、ひとりの男性の死をめぐり、「自分が彼の恋人」と言い張る3人の女性たちのマウントの取り合いを描いた物語ですが、やっぱり堤監督は口論を描くのが好きですよね。

大学に弁論部があったら入りたかったくらいですからね(笑)。映像だけでストーリーを語ることができる腕が僕にあれば別ですけど、それができないので言葉に頼ることになる。言い合い合戦のなかで、「この人はなにを考えているのか」と伝えていくしか自分には方法がないんです。

──そういう口論から、なにを表現しようとしていますか。

小さな世界に生きている人間や、我が道を行く人間が変化していく様ですね。最近は「論破」なんていう懐かしい言葉もよみがえっていますが、人は口論で人間関係を築いたり、マウントを取ったりしていく。口論を避けて生きると幸せになれるかと言うと、決してそうでもない。口論や議論は、日常生活のなかにしょっちゅうあることなんですよね。

映画『truth~姦しき弔いの果て~』

2022年1月7日(金)公開
監督:堤幸彦
出演:広山詞葉、福宮あやの、河野知美
配給:ラビットハウス PG12

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