新世代のアイテムも続々、淡路島は「香りの島」だった

淡路島は生産量日本一を誇る線香の聖地 写真/坂上正治 Richer別冊「淡路島」(京阪神エルマガジン社刊)より
あまり知られていないが、実は線香の生産量日本一を誇る兵庫・淡路島。特に盛んな淡路市の西浦海岸(今でいう西海岸エリア)にある江井地区は、観光庁の「かおり風景100選」にも認定されており、海風に乗って町中に香気が漂っている。島における香りの歴史や最新グッズを追った。
■なぜ淡路島で線香作りが盛んに?
歴史を遡ること江戸時代末期。当時は漁業や海運業が盛んだったが、冬場は季節風の影響で船が出せない。冬枯れの対策として、江井在住の田中辰造氏が、泉州・堺で線香作りの技術を習得。淡路島に戻って線香作りを始めたところ、降水量が少なく、風通しの良い瀬戸内の気候が、線香作りに適していたこと、船が運搬の主軸だった時代、原材料の搬入に便利だったことなど、恵まれた風土や地の利が発展に貢献したという。
また、海岸沿いを走ると、海を背景に佇まいも愛らしい小さな「枯木神社」がある。なんと日本最初の香木伝来伝承地とされており、日本書紀によれば、推古天皇の時代・西暦595年の夏に、大きな香木が漂着。島民がその木を焼くと良い香りが一面に広がったため、朝廷に献上され聖徳太子が観音像を作る際の材料として利用したと伝わる。現在も御神体として香木(沈香木)が祀られており、淡路島は香りとの縁が深いことが伺える。
■老舗が挑む、伝統と革新

もちろん、歴史があるからといって、ただ伝統を受け継ぐだけで産業が発展できたわけでないだろう。明治26年創業の老舗「薫寿堂」(兵庫県淡路市)の明石省三常務は、「家族や暮らしのスタイルが変わるなか、薫寿堂では、密閉性の高い空間が増えることを見越し、時代に先駆けて煙の少ない線香や、フローラルな室内香などを開発してきました」と、入社以来66年の変遷を振りかえる。
最近では若い社員の発想を取り入れ、インテリアになるお香「HA KO」(418円〜)やコットン製の紐状お香「アロマコード」(880円)も開発。カラフルな糸巻きのデザインも斬新だが、好きな長さに切って焚いたり、リボンや水引、しおり代わりと、アイデア次第で楽しめるのも魅力。品質の良い線香作りだけでなく、新しい挑戦にも取り組んでいる。
■日本だけじゃない、世界的デザイナーをも魅了

こうした伝統と文化に惹かれ、フランス・パリ発のライフスタイルブランドで、世界中にコレクターも多い「アスティエ・ド・ヴィラット」は、自身のフレグランスコレクションのひとつに線香型のインセンスをラインアップ。
NYの展示会で「日本のお線香淡路」と書かれた小さなスタンドをデザイナーが見つけたことがきっかけで、今ではパリのオペラやハリウッドなど世界中の街の名を冠した10種類以上の香りが取りそろい、パッケージに小さな神社が描かれた『AWAJI』も並んでいる(125本入り6820円)。
■もはや線香だけではない「香りのメッカ」に!

「クラシック音楽を香り化するブランド」として2020年9月にスタートした「La Nuit(ラニュイ)」では、記念すべき第1弾としてブランド名の由来である、モーリス・ラヴェル作曲のピアノ曲『夜のガスパール』をイメージした香水セット「夜のガスパール オードトワレ」を発表。
「肌で聴く音楽」として、クラシック音楽に合わせた香りと写真を掛け合わせ、聴覚×嗅覚の共感覚を探究する新しい試みで、その香りを監修したのが、淡路島在住で香りのアーティスト・和泉侃(いずみ かん)氏だ。今回の香水セットでは、和泉氏の香り、ミュージシャン・菊地成孔氏のエッセイ、写真家・野村佐紀子氏の写真や楽曲の解説・名盤選などで嗅覚・聴覚・視覚を刺激するという。
楽曲の3部構成それぞれがオードトワレ各10mlで表現され、初回限定はクラシカルな特別装丁に、読み物などのブックレット付き(1万8700円)。このビジュアルプロジェクトは、今後もアート写真家とともにコラボレーションしていくという。
「今は随分機械化も進みましたが、未だ手作りの工房もある。この町では今も、4人に1人が線香作りに携わっているんですよ」と「薫寿堂」の明石常務。淡路島では、「香りのメッカ」として今後もあらたな取り組みが生まれそうだ。
取材・文/みやけなお
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