京都の年末の風物詩『顔見世』、上方歌舞伎の名作も上演

2021.10.19 07:45

会見に出席した片岡仁左衛門(15日・大阪市内)

(写真3枚)

京都の年末の風物詩となっている、「南座」(京都市東山区)の『吉例顔見世興行』。今年の出演者のひとり、上方歌舞伎の重鎮・十五代目片岡仁左衛門が10月15日、大阪市内で会見をおこなった。

開口一番、「『京都の顔見世』は、最大の歴史を持つ興行。それを絶やすことなく、無事に幕を上げられるのは大変うれしいです」と笑顔で語った仁左衛門。コロナ禍での初の顔見世となった昨年は、「初日を迎えて『ああ、できた』という喜びがいつも(の年)と違ったけど、あとはいつも通り。お客さまがマスクをしてらっしゃっても、芝居をやっている方にはあまり関係ないですね」と貫禄の感想を述べた。

仁左衛門は、第二部の『身替座禅(みがわりざぜん)』に山陰右京役で出演。浮気をごまかすために家来とともに策を練るが、それを妻(中村芝翫)に見破られて・・・という、コミカルな一作だ。仁左衛門が右京役で出演するのは、意外にも「南座」では初となる。

「笑っていただける作品ですが、喜劇風に持っていくのではなく、品を大事にしたい。(浮気相手の)女性の描写の仕方がイヤらしくならないよう、私はかわいさを出すようにしています」と、右京役の秘訣を語る。そのうえで「世のなかの女性、特に奥様方から見れば敵ですからね(笑)。その方たちが、怒りを覚えないような人物を作り上げたいと思います」と付け加えた。

第三部では、松本幸四郎や片岡愛之助が出演する『雁のたより』の監修を担当。恋の騒動と、思わぬどんでん返しを楽しめる、上方歌舞伎の名作だ。

「(江戸歌舞伎の)幸四郎さんから『関西のものをやりたい』と言ってくださったそうです。(仁左衛門の一門の)松嶋屋の『雁の・・・』は、ほかと比べるとちょっとライト。みなさんがやりやすいようにやっていただいた上で、私は台詞回しや間の取り方などで、アドバイスができればと思います」と抱負を語った。

2020年から感染対策で、二部制から三部制になった顔見世。さらに一部あたりの入場料も、従来の顔見世より割安となっている。演目もエンタメ色強めのものが多いので、顔見世は少し敷居が高いと思ってた人も、今年は足を運びやすくなりそうだ。

『當る寅歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎』は、12月2日〜23日に上演。チケットは1等1万7000円、特別席1万9000円ほか。11月10日より発売される。

取材・文・写真/吉永美和子

衣装クレジット:スーツ・シャツ・ネクタイ / エルメネジルド ゼニア、シューズ / パラブーツ、その他・スタイリスト私物

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