淡路島の廃校を造園会社がリニューアル、よみがえり事業とは

2021.8.29 09:15

廃校となった旧「淡路高等学校一宮校」の外観

(写真12枚)

淡路島にある「兵庫県立淡路高等学校」の分校で、2011年3月に閉校となった「淡路高等学校一宮校」(淡路市郡家)。10年の時を経て、神戸市の造園会社がその廃校を再利用した『淡路廃校よみがえり事業』をスタートさせた。

「閉校前にはテレビでも紹介され話題に」

1928年に設立された私立「一宮実践女学校」が前身の同校。学制改革などで何度か校名が変わり、2001年に「淡路高等学校一宮校」と改称されたものの、2009年に生徒募集を停止。2011年に閉校となった。

家政科の高校だったため、40年ぶりに入学した男子生徒の卒業時にはテレビで紹介されるなど全国区で注目を集め、閉校までの1年間はNHKによる密着取材を受けてドキュメンタリー番組も放送されている。

そんな旧・淡路高等学校一宮校が、いよいよ売り物件に。すると、神戸で造園土木や卓球教室、警備業などさまざまな事業を手がける「須磨北造園土木」(神戸市須磨区)の代表・席定京吾さんがその存在を知ったことをきっかけに、事が動き始める。

同社の「喜び・楽しみを届け続ける」というビジョンのもと、利益を何かに還元できないかと考えていた席定さん。「廃校を放置すれば、老朽化した建物には解体撤去の費用がかかり、空いた土地はさらに人が集まりにくい場所になってしまう・・・」と、すぐに学校の歴史を調べて現地を見学、「ここなら何かできる!と直感が確信に変わりました」と購入を決めた経緯を話す。

「県外だけでなく、地元の力で地方創生を」

校舎内の工事の様子
校舎内の工事の様子

現在、「ニジゲンノモリ」を手がける「パソナグループ」など、県外からの企業進出が目覚しい淡路島。同社は新事業を展開するにあたり、全国区への発信力、集客力に乏しい地元企業にでもできる地方創生を考え、熱海の奇跡と呼ばれた市来広一郎氏の再生プロジェクトをヒントに構想を練り上げているという。

「地域の人たちが『ココっていいやん』って思うことをしよう! と。廃校のあり方として、卒業生や地域の方々に愛されるよう、来られた方々が懐かしさ感じて落ち着く、暮らしに溶け込むような『よみがえり方』を考えてます」と計画を語る。

今回の新事業を耳にした、旧・淡路高校一宮校の本校「兵庫県立淡路高等学校」の学校長・伊藤聖二さんも、「そもそも学校とは、地域のコミュニティの核になる存在です。一旦、学び舎としての役割を終えた校舎が、どんな形であっても、再び人々が集い、地域を活性化する場所になるのはうれしい」と好意的だ。

「島内の力を借りて改修、ここでしか体験できないものを」

地元の「淡路蒼開高校」サッカー部の部員らも協働で参加
地元の「淡路蒼開高校」サッカー部の部員らも協働で参加

現在のプランでは、校舎は宿泊施設やレンタルスペース、リラクゼーションサロンなどの複合施設に。体育館は飛び跳ねて遊べるエアーマット場などを予定している。

改修にあたっては、造園土木業のノウハウを活かした内装工事や清掃など、同社のスタッフだけでなく、地元高校の先生、生徒らも作業に協力。席定さんは、「このよみがえり事業はもちろん、私たちが大事にしているビジョンに共感してくださり、仲良くなりました」と、早くも島内での親睦を深めているようだ。

運営面でも、ダンス、体操・卓球教室、貸しスタジオなど、多種多様に展開してきた事業実績をもとに、さまざまなイベントや催し物など、ここでしか体験できないものを予定。「懐かしさを感じる学校跡で過ごすことで、いつもの暮らしが、ほんの少しでも喜びや楽しみに変わる気づきを得られる時間・場所になってほしい」と意気込みを語る。

さらに、「私も弊社スタッフも仕事を楽しんでいる。そこに興味を持ち、ここで研修や協働をしたいという企業、コミュニティーとも繋がっていけたら」と、席定さんの楽しみは尽きない。オープンは、2022年1月11日予定。宿泊施設・レンタルスペースは、予約・紹介制での運営になるという。

取材・文/みやけなお 写真提供/須磨北造園土木

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