五輪開会式に参加の海老蔵、複雑な思いも「大変光栄だった」

2021.8.24 07:15

会見に出席した市川海老蔵(20日、東京都内)

(写真3枚)

9月4日から全国ツアーが始まる、歌舞伎俳優・市川海老蔵の自主企画『秋の特別公演 古典への誘い』。その会見のなかで、海老蔵が参加した東京オリンピック開会式について語る場面があった。

自国開催とあり、歴代夏季のオリンピックのなかで、1964年の東京オリンピックに次ぐ高視聴率をマークした今回の開会式。海老蔵はその終盤に登場し、歌舞伎十八番のうちのひとつ『暫(しばらく)』を演じ、厄払いの意味を持つ「にらみ」を世界に向けて披露した。出演に関して、開口一番「大変光栄だった」と言いつつも、複雑な思いもあったそうだ。

「(五輪を)やるのが正解なのか、正解ではないのか。『やらなくちゃいけない』と言う人たちもいるなかで、いろんな反対意見もある。参加するのは、諸手を挙げて喜べることではないと思うんです」と当時の心境を明かした海老蔵。

式には「『ちょうだいしたもの(役)に対して素直に応じるのが大事』という思いで臨んだ」と語り、「今となっては、世界の方々、日本の方々に『暫』をお目にかける機会をいただけたのは、日本伝統文化にたずさわる1人として、大変役目が大きい仕事だったと思います」と振りかえった。

『暫』で見せた、猛々しい立(男)役を得意とする海老蔵だが、今回の公演では女役にも挑戦。我が子の死に直面しつつも、若君を守るために毅然と振る舞う乳母政岡(めのとまさおか)は、10年前にも一度演じているが、実際に子どもを持ってから演じるのは初となる。

「自分の子どもが殺されて悲しんでいるけども、それを(表に)見せないというところが、歌舞伎の深さというか、伝統文化が生み出した精神。以前やったときは子どもがいなかったけど、今はちゃんと育ってて、ちょうど(若君の)鶴千代とか(政岡の子の)千松と同じような年頃なんです。それでどういう風に感じるのかは、僕自身未知ですね」と、その変化を楽しみにしている様子だった。

『秋の特別公演 古典への誘(いざな)い』は、9月18日「神戸文化ホール」(神戸市中央区)、9月19日「フェスティバルホール」(大阪市北区)で上演。チケットは両都市とも、S席1万2000円、A席8500円で、現在発売中。

取材・文/吉永美和子

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