滋賀県立美術館、初企画展のテーマは「コミュニケーション」

2021.6.30 17:15

上段左・井上唯作品展示風景、下段左・井上裕加里《こうさするこうえん》、下段右・井上裕加里《grouping》

(写真8枚)

2017年4月から休館していた滋賀県立美術館(旧・滋賀県立近代美術館、滋賀県大津市)が、待望のリニューアルオープン。リニューアル後初の企画展『Soft Territory かかわりのあわい』が、6月27日より始まっている。

本展のテーマは「コミュニケーション」。新型コロナ禍で人との関わり方が大きく変化した今、何かと何かが出会い生じる化学反応に着目し、滋賀にゆかりのある12人の若手作家たちがそれぞれの手法・表現でメッセージを伝えているのだ。
 
たとえば滋賀県大津市出身の美術作家・河野愛は、2019年に生まれた自身の子どもと真珠を組み合わせた写真作品を発表。母の胎内で育った子どもと貝のなかで育った真珠を1つのフレームで撮影し、「異物/異者」と向き合う様を作品に昇華した。
 
滋賀県にある「成安造形大学」の芸術学部出身の井上裕加里は、公園の遊具をモチーフにした立体と、日韓の高校生が先生の号令の下、グループの中から誰か一人を排除していくゲームを撮影した映像を出展。コミュニケーションの必要性と、人間が他者との境界を作り出すプロセスを明らかにしている。
 
ほかにも、人間が作り出したさまざまな道具や技術を巨大なインスタレーションとして提示する井上唯、木の毛細管現象を利用して人物や身近な事物の像を浮かび上がらせる藤永覚耶など、12人すべての作品がこの展示のために作られた新作という点も見どころの1つだ。

型板ガラスを仕立て直した立と平面作品で、個と社会の空間的隔たりと連続性を表現した度會保浩などの作品も見られ、空間全体がクリエイティブな空気に満ち溢れている。巨匠や人気作家に頼らず、地元にゆかりのある若手作家を起用した点も高く評価すべきだ。期間は6月27日から8月22日まで、一般1200円。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

『Soft Twrritory かかわりのあわい』

日時:6月27日(日)〜8月22日(日) 月曜休(祝日の場合開館、翌日休館)
時間:9:30〜17:00 ※入館は16:30まで
料金:一般1200円 大高生800円 中小生600円
電話:077-543-2111
※「ひらけ!温故知新−重要文化財・桑実寺縁起絵巻を手がかりに−」も同時開催

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