思い入れ強すぎて毒舌連発の神戸市長、神戸駅前を再整備へ

2021.6.13 13:15

神戸駅前の再整備について説明する久元喜造神戸市長(6月10日・神戸市役所)

(写真9枚)

神戸市は6月10日、神戸駅前広場の再整備を発表。会見で久元喜造神戸市長は、計画を説明しながら、「神戸駅」(神戸市中央区)への愛情から毒舌をさく裂させた。JR三ノ宮駅に次ぐ利用者数があるにもかかわらず、どこか寂しい空気が漂う神戸駅前。その要因がなぜなのか、本記事では久元市長の発言を通して見てみよう。

まず、駅前ににぎわいが感じられないことに、「神戸という名を冠するのにふさわしくない」と先制パンチを食らわせた久元市長。

現在のJR神戸駅前。放置自転車も多く、魅力的な空間とは言いづらい
現在のJR神戸駅前。放置自転車も多く、魅力的な空間とは言いづらい

その大きな要因として、駅北側のバスロータリーを挙げ、「ロータリーにさえぎられて、行きたい方向に行けない。動線がわかりにくい」とコメント。言葉は厳しいが、これはまったくその通り。神戸市民である筆者も、ロータリーのせいで戻ったり迂回したりという経験を何度もしている。行きたい方向に行ける通路があるかどうかが、初めに見通せないのだ。

また駅のすぐ北側には「楠公さん」で親しまれる「湊川神社」があるが、それもバス停の屋根と重なり、駅前広場から神社がまっすぐ見通せない。これを「完全に邪魔になっている」とバッサリ斬った久元市長は、再整備でバスロータリーを駅南側に集約し、北側広場を広く憩える空間にすること、湊川神社がまっすぐ見通せるようにすることを発表した。

整備イメージ。まもなく築100年を迎えるレンガ造りのレトロな駅舎が主役になるような空間を目指す(神戸市提供)
整備イメージ。まもなく築100年を迎えるレンガ造りのレトロな駅舎が主役になるような空間を目指す(神戸市提供)

さらに現在は、北側から駅を見ると駅の設備機器で隠れているレンガ造りの駅舎。これについても久元市長は、「すぐれたデザインで、歴史ある駅舎の景観がさえぎられている」とし、「駅舎が浮かび出るような、風格のある駅前広場に刷新したい」と述べた。ほかにも南側広場の改修や、ハーバーランドへの案内やサインを整備するなど、人を主役とした駅前空間づくりを目指す。

筆者も以前から、神戸駅前の「なんとなくイケてない感」は感じていたものの、それがなぜなのかわからなかったし、理由を深く考えたこともなかった。しかし久元市長のコメントから、「だからイケてなかったのか」と腑に落ちた気がする。

実は久元市長は以前、フェイスブックで市役所の体質を「ふんぞり返っている」と表現し自身を戒めたことがあったが、その投稿も神戸駅周辺を歩いたときに生まれたもの。

開業が明治7年と、その歴史に驚かされる神戸駅(神戸市提供)
開業が明治7年と、その歴史に驚かされる神戸駅(神戸市提供)

神戸駅は1874(明治7)年、国内2番目の鉄道「大阪~神戸」線の終着駅として開業した。現代の駅舎も1930(昭和5)年にできたもので、日本の近代化と神戸の歴史を物語る貴重な存在だ。

自治体の長としては、神戸の歴史を象徴する神戸駅が、にぎわう場所であってほしいとの思い入れが強いのだろう。普段からストレートな物言いをする久元市長だが、この日は駅への思い入れからか、発言の鋭さに磨きがかかっているように感じられた。

神戸駅の周辺は、北は湊川神社や文化ホールのある大倉山、南はハーバーランド、東は元町、西は映画館や落語寄席「喜楽館」などがある新開地と、東西南北でエリアごとにカラーが大きく異なる。

周辺エリアの回遊拠点として、駅前広場を整備する方針(神戸市提供)
周辺エリアの回遊拠点として、駅前広場を整備する方針(神戸市提供)

久元市長は、「各エリアを舞台、まち全体をひとつの劇場と見立てると、駅は玄関、駅前広場はホワイエのような位置づけ。劇場(まち全体)がより楽しく、生き生きとするための駅前広場にし、周辺エリアへの波及効果を目指したい」と語った。

神戸市は7月1日から8月1日まで、再整備の素案に対する意見募集(パブリックコメント)をおこなう。寄せられた意見をもとに2022年から設計を始め、現在の駅舎が100周年を迎える2030年に整備を完了する予定という。

取材・文・写真/合楽仁美

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