無症状でも実は即入院かも、自宅療養中に悪化しないためには?

2021.5.15 07:15

「自宅療養者の健康観察」取り組みについて説明した定例会見のフリップ(2021年2月4日・大阪府庁)

(写真20枚)

新型コロナウイルス感染症の自宅療養者が、5月12日時点で約1万5000人と膨大な人数になっている大阪府。自宅療養中に容体が急変し死亡する報告もあるため、府の担当者にも話を訊いて、療養中に悪化させないためには何に気を付ければいいのか整理した。

変異株が大半を占める現在の第4波。自宅療養・宿泊療養者の重症化が第3波(10月10日~2月28日)の4カ月半で851人だったのに比べ、3月1日から5月2日の2カ月の統計で799人とほぼ2倍のスピードで発生している。

大阪府配付資料より、大阪府の入院・療養者数の推移(5月6日時点)
大阪府配付資料より、大阪府の入院・療養者数の推移(5月6日時点)

PCR検査を受けて、万が一陽性反応が出た際に「退院・療養解除」までの動きはどういったものなのか。まず陽性者は軽症や無症状であっても基本的には宿泊療養。しかし何らかの事情がある場合には、保健所長の判断で自宅療養になるという。

自宅療養になると、「自宅療養されるみなさまへ」という冊子が渡され、そこには保健所にすぐ連絡すべき緊急性の高い症状例や、療養解除までの生活に関する基本事項などが具体的に掲載。

主な内容は、消毒液の作り方やオンラインでの診療・薬の処方の方法などで、心のケアを必要とする人の電話相談といった細かな点も記載されている。

「無症状でもコロナを甘く見ないことが重要」

大半の人は自宅療養して約2週間で療養解除になるが、一部で症状が悪化するケースも報告。5月12日の定例会見で吉村洋文知事は、「本人もそれ(急変する)までは元気でいたけれど、酸素飽和度(血中酸素濃度)は絶対に入院しなければならないほど低くなっていて、(気づかずに)急変して亡くなる方もいる」と話す。

そこで、自宅療養者は療養中にいかに体の異変に気付くことが重要で、そのために役立つのが血液の酸素濃度を測る「パルスオキシメーター」だ。

「自宅療養者の健康観察」取り組みについて説明する定例会見のフリップ(2021年2月4日・大阪府庁)
「自宅療養者の健康観察」取り組みについて説明する定例会見のフリップ(2021年2月4日・大阪府庁)

府ではこれまでも同機器を宿泊療養者全員と、40歳以上の自宅療養者及び保健所長が必要と判断した陽性者(大阪市は5月13日から入院待機者・宿泊・自宅療養者全員)に配布し、毎日健康観察を実施している。

自宅療養を支援する担当者によると、「血中酸素濃度は数値として危険が分かるのでパルスオキシメーターをこまめにチェックすることは重要です。また顔色や息切れなどが悪化した場合は、直ちに保健所に連絡することが大切です。コロナを甘く考えず、療養中は、特に自分自身の体調にしっかりと気を配ることが重要です」と注意喚起する。

府は今後、自宅療養中に亡くなった人がどういう状況で亡くなったのか、家族の同意を得ながら公表していくと話している。

取材・文/岡田由佳子

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