神戸市のコロナ対策を担う「かんぽけん」って何だ?

PCR検査の判定をおこなう「環境保健研究所」は110年近い歴史がある(提供:神戸市)
神戸市の久元喜造市長は、3月25日に「神戸市役所」(神戸市中央区)でおこなわれた定例会見で、新型コロナウイルス感染症の陽性件数や変異株の状況について説明し、あわせて新年度の体制強化・変更を発表した。
3月24日までの直近1週間の陽性件数は184、その前週は175、前々週は123だったため、緊急事態宣言が解除されて以降、少しずつ増加傾向。
この日の会見で久元市長は、「苦渋の選択だが、通常医療を制限せざるを得ない」と、受け入れ病床数を現在の189から最大確保数の211に拡大するよう、市民病院機構に要請したことを明かした。
また、新年度からの体制強化のなかで、対応にあたる健康局の職員増員のほかに「環境保健研究所」の名前を「健康科学研究所」に変更することが発表。久元市長は、市民にあまり知られていない「環境保健研究所(以下、環保研)」の役割を改めて紹介した。
「縁の下の力持ち、環保研(かんぽけん)」
新型コロナウイルス感染症が疑われるとPCR検査をおこなうが、神戸市でその検査の判定をするのが、ポートアイランドにある環保研だ(一部、民間機関もあり)。普段から、インフルエンザや結核などの感染症や食中毒(O−157など)の検査・研究をおこなっている。

神戸市で変異株の確認数が多い理由は、国の要請よりも(コロナ陽性者全体に対する変異株の)検査率が高いためだが、高い割合を保てるのは、環保研が独自で「国立感染症研究所」と同じ検査(ゲノム解析)ができるからだ。
環保研のような施設は「地方衛生研究所」といわれ、各都道府県や政令指定都市、一部の中核市など、全国83カ所に設置。しかし研究所によって体制や人材の充実度が違い、神戸市のように独自で検査できる施設はまだ少数だ。
前身の「神戸市立衛生研究所」(発足1912年)から数えると110年近い歴史がある環保研。乳児の死亡率が高かった1920年代、それを食い止めるために全国で初めて「巡回産婆事業」をおこなった歴史もあるという。
「大正時代から、衛生行政できわめて先駆的な研究をしてきた」と神戸市の取り組みを紹介した久元市長。さらなる研究への支援として、新年度に300万円程度の予算を計上することも明らかにした。
現代の私たちには当たり前の「衛生」。コロナを機に、「縁の下の力持ち」の存在を実感する。
「久元市長、厚労省の発表姿勢に違和感」
厚生労働省が3月23日付けで発表した「都道府県別の変異株確認数」は、もっとも多いのが兵庫県で161、次が大阪府の105、東京都はわずか18だ。

これについて久元市長は、「陽性件数がはるかに多い東京都が18というのは、違和感を覚える。全国まんべんなく検査がおこなわれるよう、厚生労働省には要請している」と話した。
また市長は、「変異株の感染力や重症化の危険性が、従来のウイルスとどれくらい変わるのか、国の責任で説明してほしい。これは自治体にはできないことで、そのために国立感染症研究所があるのだから。『これだけ広がっています』だけでは人々に行動変容をうながすことができない」と、国の姿勢に苦言を呈した。
取材・文・写真/合楽仁美
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