影の立役者「弟」にも焦点を、滋賀でムーミン展

2020.11.7 07:45

モノクロの作画がスタイリッシュなラルスの展示室。4作品全てが初出展

(写真5枚)

ムーミンの漫画を紹介した『さがわきっずみゅーじあむ 冬季企画「ムーミン75周年記念 ムーミンコミックス展」』が「佐川美術館」(滋賀県守山市)で10月24日から開催している。

ムーミンの作者として有名なトーベ・ヤンソンだけでなく、弟ラルス・ヤンソンに焦点を当てた同展。実は、本国のフィンランドでもあまり知られていないが、海外でもムーミンが支持されるきっかけとなった立役者だ。

ムーミンの人気が決定的になった背景には、イギリスの大手夕刊紙『イブニング・ニューズ』にて1954年から1975年まで連載されたコミックスが大きく関係している。

イギリスで出版・翻訳されたトーベの童話『たのしいムーミン一家』が評判を呼び、ロンドンのエージェントが新聞でのコミックス連載をトーベに依頼。そのオファーを受けた当時、トーベはキャラクター設定や作画を、ラルスが資料収集や英語翻訳を担当していた。

しかし、その後トーベがマルチアーティストとして多忙を極めると、ラルスにバトンタッチ。15歳に小説家デビューを果たしていたラルスがストーリーテラーの腕を生かし、1960年以降の連載を務めている。

海外約40カ国以上、120の新聞に転載されたこともあいまってムーミンの知名度は急上昇。約21年間の連載によって、誰もが知るキャラクターに成長。今回はそんな経緯を知るためにもトーベとラルス姉弟がコミックス用に描いたスケッチ画や作画、原画などをそれぞれの作品に分けて、約300点を展示している。

トーベの描くムーミンは、童話作家らしく絵本の挿絵のように温もりのある作風であるのに対し、ラルスのムーミンは新聞印刷がしやすいようにデフォルメを若干加え、コミックスを意識したシンプルで洗練された画風。両者の感性によって少しずつ異なるムーミンを見比べると、より深く堪能できるだろう。

学芸員の馬場まどかさんは、「陰の立役者であるラルスの作品は、書籍化されていないものも含め大変貴重なものばかり。この機会にトーベのみならずラルスにも目を向けていただければ」と熱くコメント。実はラルスに焦点を当てたのはアジア初で、関西では同館のみでの開催となっている。

来場者には、ムーミングッズを身に着けたファンの姿も。県内から訪れた20代の女性2人組は「アニメと違った雰囲気で楽しめた。大人っぽいムーミンが新鮮」と、オリジナルグッズの買い物を満喫していた。

関西では同館のみで、会期は2021年1月11日まで。開館は9時半~17時(新型コロナウイルス感染拡大防止のため、休館日や営業時間が変更する場合あり。事前に公式サイトで確認を)。

取材・文・写真/中河桃子

『さがわきっずみゅーじあむ 冬季企画 「ムーミン75周年記念 ムーミンコミックス展」』

期間:2020年10月24日(土)~2021年1月11日(月)※月曜休(11/23・1/11開館、11/24・25・12/29〜1/1休) 
時間:9:30~17:00(入館は〜16:30)
会場:佐川美術館(滋賀県守山市水保町北川2891)
料金:一般1000円、大高生600円、中学生以下無料(保護者の同伴が必要)
電話:077-585-7800

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