伝説的ロックバンド・頭脳警察、破天荒だけじゃない50年

2020.8.30 21:15

『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』©2020 ZK PROJECT

(写真1枚)

伝説的ロックバンド・頭脳警察の半世紀以上に及ぶ歩みを追ったドキュメンタリー映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』が、関西では8月29日から順次公開される。

■ 発売中止、放送禁止…破天荒なイメージがあった頭脳警察

日本のロックはどこから始まったのかには諸説あるが、間違いなくそのひとつの源流となったのがPANTA(中村治雄)とTOSHI(石塚俊明)によって、1969年12月に結成された頭脳警察だ。

のちに「革命三部作」と呼ばれる『世界革命戦争宣言』『銃をとれ』『赤軍兵士の詩』といった曲タイトルからも伝わる過激な歌詞と自由なメロディーによって当時の学生たちから支持を集め、ファーストアルバム『頭脳警察1』(1972年3月)は歌詞の過激さから発売中止に。続く『頭脳警察2』(同年6月)も3曲が放送禁止となった後に回収され、ライブにおいても数多くの破天荒なエピソードを残してきた。

しかし、今回公開されるドキュメンタリー映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』(監督・編集:末永賢)は、とにかく「おっかない」「政治的」といったイメージばかりが先行するバンド像を刷新し、むしろ時代の変化や動きにフレキシブルに反応して「万物流転(パンタ・レイ)」を繰り返しながら、今も現在進行形のグループであることを印象付ける。

予告編

加藤登紀子やザ・ワイルドワンズ、オックスのメンバーの証言も挟みながらのセンセーショナルな初期の活動にまつわる逸話の数々も興味深いが、このドキュメンタリーを観ながら改めて惹きつけられていくのは、むしろその後の歩みだろう。

過激な部分にばかり注目されることに窮屈さを感じてバンドを解散し、PANTAとTOSHIは70年代後半以降にソロへと転じて頭脳警察とは違った角度から音楽性を広げていく。

しかし、その後も昭和から平成へと移行した1990年、米国によるイラク戦争が泥沼化してきた2007年と時代の節目ごとに再結成し、結成50周年を迎えた2019年も黒猫チェルシー、騒音寺、アーバンギャルドといった若手バンドで活躍してきた面々をメンバーに迎え、「頭脳警察50周年バンド」として再始動。年輪を重ねてきた深みと薄れない衝動が同居する日本語ロックを鳴らし続けている。

■ ブレないまま現在も存在感を示し続ける2人

かつてはライブの場で衝突する関係にあったはっぴいえんどに在籍した細野晴臣や、先鋭的なサウンドを示したPANTA&HALのプロデューサーを務めたムーンライダースの鈴木慶一など、半世紀に渡ってキャリアを重ねながら今も尽きないクリエイティヴィティを発揮し続けている破格の才人はほかにもいるが、頭脳警察の2人もまたブレない活動スタンスのまま、今だからこそ表現できる音と言葉を真摯に提示している。

デビュー時から日本のロック史における「異端児」であり続けながらも、アンダーグラウンドに潜るわけではなくメインストリームに刺さる場所に身を置き、その歴史と武骨に並走しながら現在も存在感を示し続ける頭脳警察。

ブレヒトの詩を翻案した『赤軍兵士の詩』、安土桃山時代の小唄からの引用を含んだ『つれなのふりや』、尺八をフィーチャーしてリズムにおける和の感覚にもこだわった2019年リリース最新作『乱破』のタイトル曲といえる『乱破者』、そして、この映画のエンディング曲としてコロナ禍が影響を及ぼしてきた3月末に無観客ライブで演奏された新曲『絶景かな』まで。

ポイントとなる新旧の名曲を効果的に挟みながら、アイドル・グループや一水会にまで至る幅広い交友関係、クリミア半島にまで赴いて歌うPANTAの姿までも100分に凝縮した本作で、日本のロックの真のパイオニアの歩みに改めて触れてみてほしい。

関西では、8月29日から大阪・十三の「第七藝術劇場」で公開がスタートするのを皮切りに、「京都みなみ会館」、兵庫「元町映画館」でも公開予定。

文/吉本秀純

頭脳警察50周年プロジェクト『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』

監督・編集:末永賢
配給・宣伝:太秦

関西の上映館:第七藝術劇場(8/29〜)、京都みなみ会館(近日公開)、元町映画館(近日公開)
©2020 ZK PROJECT

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