「令和なのに手作業だった」神戸市がITで大幅削減したのは

従来の手書きの申請用紙を手にする、教育委員会教職員課の大浦富男係長(8月26日・神戸市役所)
神戸市はITスタートアップ企業と協働し、教育委員会の給与支給業務と届出業務を効率化するシステムを開発。業務時間を年間で6000時間、費用を5年間で4億円削減できる効果が見込めると、8月26日に「神戸市役所」(神戸市中央区)でおこなわれた記者会見で発表した。
効率化に取り組んだきっかけは、それまで都道府県がおこなっていた教職員の給与支給業務が、2017年度から政令指定都市に移譲されたことだ。事務を担当した神戸市は大苦戦。学校現場から申請される書類を、事務職員が複数人で1枚ずつチェックしなければならず、教育委員会教職員課の大浦富男係長は、「この令和の時代に、手作業をしていたんです」と明かす。
試行錯誤していた2018年、神戸市のスタートアップ支援事業「アーバンイノベーション神戸」が始動。行政とスタートアップ企業が協働し、テクノロジーで行政の課題を解決する事業で、ここに手を挙げた教職員課が、デジタルコンサル業の「モンスター・ラボ」(本社:東京都渋谷区)とタッグを組むことになった。
最初に着手したのは、業務でもっとも時間がかかっていた、教職員の通勤手当額の決定作業。これまでは異動で勤務先が変わると、教職員が新しい通勤経路を書類で提出。受け付けた教職員課でそれを1枚ずつ、地図や路線図を見ながら適切かどうか確認し、手当額を決めていた。
そこで「モンスター・ラボ」は、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の技術を使ってこの作業を自動化する「手当計算ロボット」を開発。申請を電子化するだけでなく、事前に職員の住所と勤務場所から最適な通勤経路と金額を自動判定できるようになり、1895時間(年間)の業務時間を削減できた。
この成功を機に、次は住居手当額の決定を自動化。2019年度からは「ハニカム」(本社:東京都港区)と「ママスクエア」(本社:東京都港区)も参画し、給与支給システム全体の刷新に加え、住所変更などの届出もシステム構築がおこなわれた。
結果、これらシステムの導入により、合わせて年間で6000時間以上の業務時間を短縮。さらに、5年間で4億円以上の費用削減を見込めることになったという。
さらに、業務をクラウド化(ネット化)したことで在宅勤務がしやすくなり、年間で5000時間以上を創出。育児や介護で出勤できないときや、今回のコロナ禍のような状況でも、柔軟に業務に対応できる。
大浦係長は、「どこからでもアクセスできるので、災害が起きても安定的に給与を支払える」とシステムのメリットを強調。これらのシステムで今年度中にテストをおこない、2021年度からの本格実施を目指す。
取材・文・写真/合楽仁美
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