元月組・憧花ゆりの、「宝塚愛」でホテル支配人へ

2020.6.27 08:15

素敵なデザインの新制服に身を包んだ憧花ゆりのさん。「本当はズボンだったのですが、やはり落ち着くのでスカートにしてもらいました」

(写真12枚)

「感動があると心が豊かになる」

──今年移転開業する宝塚ホテルの新支配人に、というお話があったときは驚かれましたか?

はい。でも卒業後、色々な勉強をしていくなかで、「私はたぶん最終的に、宝塚のためにこの勉強をしている」と思っていました。支配人とは想像していなかったのですが、「宝塚大劇場」のすぐ近くで働かせていただけるのは、宝塚にも、OGの方たちの役にも立てると思い、お引き受けしました。

違う選択があったのかもしれないのですが、やはり「宝塚愛が勝っちゃった!」んです(笑)。

──大きな決断だったと思うのですが、素敵なお話ですね。依頼があって、大学を辞めることも考えられたのですか?

支配人としてディナーショーなどイベントの企画の仕事もすると伺い、音楽の知識は出演者と話をするうえで役に立つと思ったので、大学の勉強は続けています。

以前の意匠を引き継いだ、真っ赤な絨毯が敷かれた階段。よりエレガントに
以前の意匠を引き継いだ、真っ赤な絨毯が敷かれた階段。よりエレガントに

──元タカラジェンヌとして、色々なことを企画していきたい、という想いが?

今、OGの活動はとても広がっていますよね。私の同期は女性パイロットになりましたし、卒業後の人生、結婚や出産後も働いている人がたくさんいて、SNSなどで発信し、ファンの方との交流も盛んです。私自身、色々なつながりがあるので、多くの先輩後輩と一緒に楽しくお仕事できたらと思っています。

──90年以上の歴史ある「宝塚ホテル」の移転、開業準備を進めるなかで、憧花さんはどのようなことに取り組まれたのですか?

まずは、スタッフのみなさんの様子をひたすら見て、お名前を覚えて、情報を集めるところから始まりました。総支配人に色々と教えていただき、仕事内容を把握して。

私が「宝塚ホテル」にいる意味は、やはり宝塚歌劇との連携だと思います。再開したときに、ホテルとどのようにつながっているのかが見えてくると思うので、そのなかで自分ができることを考えていきたいです。

宴会場「舞花」。天井には、旧ホテルの宴会場「ロゼ」にあったシャンデリアを移設
宴会場「舞花」。天井には、旧ホテルの宴会場「ロゼ」にあったシャンデリアを移設

──宝塚大劇場オフィシャルホテルならではのお部屋や展示なども、アドバイスされたのですか?

2階のギャラリーについては、展示監修をさせていただきました。私も宝塚ファンなので、みなさまが何をご覧になりたいかという点で、アドバイスしやすかったです。

──ホテルのコンセプトが「夢のつづき」ということで、華やかな世界観が味わえる造りとなっていますね。

この絨毯(宴会場「舞花」のフロア)は椿柄なんですよ! (上部の)このシャンデリアは、「ロゼ」という宴会場から移設したもので、私もとても気に入っています。

旧ホテルは、卒業した日のフェアウェルパーティーなどさまざまな機会で利用し、家ではないですけれど(笑)、とても身近に感じる存在でした。新しくなったこの「宝塚ホテル」でのスタッフも、歌劇団の知識が豊富で、連携プレイがとてもスムーズです。

──このたびは新型コロナウイルスの影響で大変だったことと思います。憧花さんご自身、今の世の中だからこそ心に留めていることはありますか?

大学のスクーリングを受けたときに教授が、「芸術、エンタテインメントは人間にとって必要か」というお話をされて・・・。芸術は人が感動するためにある、でも感動は必ずしもしなければいけない、というわけではないですよね。

ただ、感動があると心が豊かになり、その感動があるのと、ないのとでは充実感が違うと思います。この状況で、そういうことを考えるようになりました。

──7月17日の宝塚歌劇再開が楽しみですね。

劇場できっと泣いているお客さまも、いらっしゃるのではないでしょうか。舞台に立つタカラジェンヌも、味わったことのない感動が湧いてくると思います。本当にその日が待ち遠しいです。

──今後、考えていらっしゃる目標は?

宝塚を辞めたときは、まさかこんな自分になっているとは想像していませんでしたが、劇団のために何かできているというのは嬉しい驚きです。とても恵まれたことだと思うので、この状況に感謝しながら、スタッフと協力して素晴らしいホテルにしていきたいです。

「宝塚ホテル」

住所:兵庫県宝塚市栄町1-1-33
電話:0797-87-1151

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