奈良県が新型コロナ第2波に備え、第1波との戦いを分析
武漢渡航歴のない感染者(国内6例目)が判明した1月28日に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、対応してきた奈良県。6月12日の対策本部会議で荒井正吾知事が、第2波に備えるため、第1波との戦いを振りかえった。
4月上旬、全国的な感染者急増にともない奈良県の感染者も増加。同じ近畿の滋賀県、和歌山県はゴールデンウィーク前に歯止めがかかったものの、奈良はゴールデンウィーク後も感染者が続く状況だった。
人口10万人あたりの年齢別、男女別の感染者状況や死亡人数について他地域と比較した結果、10歳未満の子どもの感染が全国平均より少し高く、全年代のなかで、40~50代の感染が多いという特徴が判明。男女比では男性の感染者が少し多く、近畿のなかでは、死亡者が滋賀県に次いで少ないと分かった。
荒井正吾知事は、「特徴として40代が多いのは通勤感染だと思われる。このデータは感染経路の推定に役立つもの」と説明する。
県は当初、「発熱・症状があり、重症化予防につなげる」という国のガイドラインに従って新型コロナ相談対応をおこなっていた。しかし、PCR検査結果が判明するまでに他人に感染させてしまう可能性があったため、4月中旬から「帰国者・接触者相談センター」に感染が疑われる人から相談があった場合は必ず外来診察につなぐという対応に変更。
さらに、5月23日から、感染リスクがある希望者は症状の有無に関わらず、PCR検査が受けられるよう受診調整し、検査対象の拡大をおこなっている。
知事は、「一時は(感染症)病床が少なくなり、医療機関との連携もギリギリだったように思う。奈良県としては、(感染が)判明した人全員を入院させることができたのは1波目としては良かった」と振りかえり、「失敗はあってよい。当初は国のガイドラインに従ってPCR検査対象を絞ってしまった。(感染の可能性がある人を)早く隔離する必要があった。今後は、経験から学び、分析して賢く対応する」と反省を述べた。
取材・写真/いずみゆか
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