大阪・ファンダンゴが喫茶に、ライブハウスが原点回帰?
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、休業していた大阪のライブハウス「堺ファンダンゴ」(堺市堺区)が、6月1日からロック喫茶としてバー営業をスタート。ライブはないものの再開を祝いに、初日は多数の常連客が訪れた。
大阪・十三での32年の歴史に幕を下ろし、2019年10月に堺市で復活した「ファンダンゴ」。十三にあった扉や階段なども設置され、かつての雰囲気をそのまま踏襲。新天地でも同店らしいスタイルでファンを楽しませてきた。
しかし、コロナ禍により4月1日から営業を自粛。約2カ月間、オーナーの加藤さんはライブハウスについて考えたという。「ライブがなくて落ち込んでいる人がたくさんいて。みんなライブハウスで発散して次の日の活力にしていたんだなと改めて感じました。そして、僕らスタッフもその人たちのためにやってきたんだと思いましたね」と振りかえる。
「僕は人と人が集える場所がライブハウスやと思ってるので、ロック喫茶という形で一旦再開することにしました。60〜70年代の、ライブハウスができるまえの状態に一回戻る機会かなと思ったんです」と話す。
その言葉通り、この日は17時の開店から再開を待っていた常連客がひっきりなしに訪れた。「いつもファンダンゴで会う仲間と自粛中会えなかったので、久々でうれしい」と乾杯し合い、そのほとんどが加藤さんや店長の村上さんらスタッフに「久しぶり! 元気でした?」「大変やな、今後どうするん?」など声をかけていたのが印象的だった。
ロック喫茶だが、入り口では通常のライブ時のようにワンドリンクチケットを購入するシステムに。店長の村上さんは「このほうがライブハウスに来た雰囲気を味わってもらえるでしょ」と言い、このために専用のチケットを制作したんだとか。
仕事終わりにスーツ姿で駆けつけた大阪市在住の50代男性は、「25年前に初めて十三のファンダンゴでライブを観てから、僕にとって思い出の詰まった場所。そこが再開すると聞いて、行かないと!と思って来ました。やっぱりこの雰囲気はいいですね。お酒がすすんでしまう」と笑顔で話した。
ライブハウスは好きなアーティストのパフォーマンスを観る場所であるのはもちろん、人と出会う場所であることを象徴するような風景が、この日あちこちで見られた。大阪府では独自の感染防止ガイドラインが発表され、休業要請が解除されたものの、まだまだライブの再開は難しい現実がある。以前のように生の音楽に身を委ねながらそこで出会った人と乾杯できる日が待ち遠しい。
「ロック喫茶 ファンダンゴ」の営業時間は日により異なるため、公式ツイッターなどで確認を(6月8日は休み)。各日フードやフリマなどの出店もある。
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