行定監督「山﨑賢人のキャリアからは想像できない役柄」

「映画監督がオリジナルでこういった作品をやろうと思ったら、制作費の0が1個減ってしまって、インディペンデントになってしまう可能性がある」と語った行定監督
「僕にとって重要なのは、二人が映画の世界のなかでシーンを理解しているか」
──物語の題材に「演劇」があることも魅力を感じる一因でしたか?
そうですね。僕も舞台の演出もするし、小劇場演劇をやってきたわけではないですけど、小劇場の人たちとは仲もいいし、人もいっぱい知っていますからね。
いまでも打ち込んでいる人もいれば、夢かなわず、やめていった人もたくさん見ています。物語の主な舞台となっている下北沢は小劇場の聖地ですし、やっぱり「演劇」は題材として魅力ありますよね。それに「演劇」が題材であったおかげで思いついたのが今回のラストシーンなんです。
──ネタバレになるのでここでは書けませんが、あの仕掛けを施したラストシーンですね。たしかにあれは「演劇」というモチーフがなければ生まれなかったでしょうね。
原作にも別の素敵なラストシーンは書かれているのですが、映画としてやるのだったら、「演劇」という題材を活かして、主人公ふたりの思いをはっとさせる形で露呈させられないかと考えて、あのラストを思いついたんです。説明ではなく、情感が一番盛り上がるクライマックスで終わらせたかったというのもありました。

──確かにみごとな仕掛けだったと思います。
先輩監督からは「コワイことするなあ」って言われて。そのあと「でも、うまくいってるよ」って褒めてもらいましたけど(笑)。
ただそのとき、もしもお客さんから「どういうことかわからない」って反応されたらどうするんだとも言われたんですけど、僕は最近、わかってもらおうとは思わないようにしているんです。
説明はしたくないし。僕にとって重要なのは、お客さんにわかってもらうことよりも、劇中の二人が、映画の世界のなかでシーンを理解しているか、なんです。理解してくれていれば、そういう芝居になるはずだし、お客さんはそれを観て勝手に解釈してくださればいいと思うんです。
──確かに、わかってもらおうというのは、下手をすると意味の押しつけになりかねないですしね。
さらに言うと、あのラストは原作の行間の具現化でもあると思うんです。僕は後輩の映画監督たちによく言うんです。「小説を映画化するのなら、エンタテインメント小説よりも純文学がいいぞ」って。なぜならエンタメでは逃れられない流れなどがあって、(原稿に)絶対に書いてないとダメなことってあるんです。
でも、純文学は、大事なことは書かれていない行間にこそあって、真実は行間に潜んでいるんです。だから、映画化するなら純文学の方が自由度も高いし、行間を捉えることで作品の本質に近づくことにもなるんです。あのラストは、行間に在った、主人公二人の思いだと考えています。
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