仁丹パズル爆誕…ツッコミどころが多すぎる老舗会社のSNS
若い世代の方は「仁丹(じんたん)」って何かご存知ですか? 年輩の方にはおなじみ、あの銀色の小さい粒々(ちょっと匂いにクセがある方です)を作る「森下仁丹株式会社」(本社:大阪市中央区)が、今、SNS上で「攻めてる」と話題になっています。
1905年の日露戦争の最中に発売された「仁丹」(当時は赤大粒仁丹)。時代とともに変化しながら、16種類の生薬を練り合わせ、銀箔で包んだ口中清涼剤として現在も製造を続けています。
もともとツイッターでの遊び心が好評だった同社ですが、新型コロナウイルスの影響でおうち時間が増えてから、「見る人を楽しませよう」というサービス精神が完全に暴走。無地パズル並に難解な「仁丹パズル」や、チマチマと撃ち続けるシューティングゲーム「スペース仁丹」を作ったり・・・。
1893年創業の老舗製薬会社にしては尖りすぎてやしないか? ツイッター担当さんは一体何者!?と気になったので、オンラインでお話をうかがいました。
──初めまして! アラザン・・・じゃなくて「仁丹」を取り扱う森下仁丹さんのツイッター担当さん。
ケーキにのせるアラザンじゃありませんよ!(笑)・・・そう、今みたいに「仁丹」ってとても歴史があるのにツッコまれがちな商品なんですよ。実は、会社の売上のなかでは「仁丹」の売上は一番ではないんです。
──えっ、いきなり驚きの事実なんですが(笑)。ツイッターを始めたのはどんなきっかけで?
もともと2018年にツイッター運用をスタートしたのは、現在主力製品となっているサプリメントの宣伝がメインでした。それまでツイッターなんてしたこともなかったのですが、いろいろやるうちに気づいたことがありまして。
──はたして、それは?
「仁丹」っておじいちゃん世代はよく知っていても、若い世代にとってはほとんど知らない商品なんだなと。さらに知っていてくれていた人にも、生薬の香りが特徴的なため「ニオイが独特」「まだ売っていたの?」とか言われちゃうところだったり、ツッコミどころが多いみたいで。そこからは、「仁丹」をちょっと笑いにできる方向に切り替えました。「実はまだ頑張っているんです・・・!」という感じで。
──あふれる自虐ツイートの数々から、その姿勢がビシビシと伝わってきます・・・。
でも、私自身商品に対する想いは人一倍なので、愛をもってツイートしています。あとは半分社員として、半分個人としての見解で運用しています。お客さまともなるべく絡むことを大事にしていて、こまめに返信しています。自虐ツイートが多いですが、愛はかなりあります!
──たしかにツイッター担当さんの溢れる仁丹への愛、伝わってきます。仁丹パズルなど、一見クレイジーな企画も愛ゆえに生まれたものですか?
ツイッター担当と上司、デザイナーの3人で企画しました。特に仁丹パズルはデザイナーの力作です。このために賞味期限切れの仁丹を敷き詰めて撮影して作りましたからね。パズル、上司はやってみて4ピースほどで諦めていました。
──私もプリントアウトして切っている最中でイヤになりました(笑)。実際、ツイッターをはじめてからなにか変わったことってありますか?
私たち3人は、全員ツイッター以外本業があるメンバーなので、隙間を縫ってフォロワーさんたちに楽しんでもらえるような企画を考えるようになりました。また、商品についての質問などがあったとき、自分たちで答えられない場合は多くの社員が助けてくれたりして、社内の結束力も高まっている気がします。
──なるほど、ほかにどんなことを意識されて運用されていますか?
歴史が長い分、老舗ブランドのイメージもある会社ですから、古さや伝統を大切にしつつも遊べる部分で遊ぶことを意識していて、「仁丹」が家族間でのコミュニケーションになってほしいと思っています。「この仁丹パズルやってみない?」って、おじいちゃん世代と若い世代の会話のきっかけになったりしたら面白いですよね。100年以上歴史がある製品なんて、世のなかになかなかないですから。
──今後「森下仁丹」として目指すところは?
ツイッターをきっかけに過去製品が復刻したり、新商品開発につなげたりしていけたらなと思っています。目指すのは、体にまつわるあれこれを相談できるお隣さんのような存在です。幅広い方々に「仁丹」を身近な存在として愛してもらえたらなと。まだまだ可能性はあると思いますので、探っていきたいと思います!
◆
ツイッター担当さんが持つ仁丹愛はもちろんのこと、ツッコミ待ちのところやお隣さんのような存在を目指しているところに、関西らしい人情あふれる姿勢を感じました。
ちなみに、「仁丹」をどんなときに利用するのかというと、気分不快、口臭、二日酔い、宿酔、胸つかえ、悪心嘔吐、溜飲、めまい、暑気あたり、乗り物酔いに効能がある医薬部外品(販売名は仁丹N)だそうです。これを機に「仁丹」、使ってみたいと思います!(ドラッグストアでは口臭ケアコーナーにありましたよ)。
取材・文/小田切萌
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