京都の禅寺「両足院」発のZoom座禅、世界の人とつながる

2020.4.27 14:00

座禅会「雲是(うんぜ)Cloud Sitting」。画面上に、座禅会場と参加者の顔ぶれが見える

(写真2枚)

京都の建仁寺塔頭「両足院」(京都市東山区)の副住職・伊藤東凌さんと、香港のスタートアップ「SLEEEP(スリープ)」によるZoomを使った座禅会「雲是(うんぜ) Cloud Sitting」が、5月1日までおこなわれている。

両足院は、室町時代中期まで「五山文学」の最高峰として文化芸術をリードした古刹。現在でも文化プログラム「RYOSOKU」、インスタレーション展示やヨガとおこなう座禅など、エッジなアートフォームを通して禅の学びを伝えている。この憂うつな時に、心の平安とバーチャルなグローバルコミュニティとの出会いを求める人が誰でも参加できるように、と始まった同プログラムに、参加してみた。

Zoom座禅は、あさ8時半から。ノートパソコンを縁側に置き、お香など焚いてちょっと気分を盛り上げてチェックイン。時間になると、伊藤東凌さんと参加者の顔ぶれが現れる。普通の座禅会では参加者の顔を正面からまじまじ見ることがないので、親密度は逆に高い。

画面のなかの伊藤さんが、本堂の障子をすーっと開けられると、新緑のお庭が現れ、気持ちが四畳半の居間から禅寺の空間へとスッキリ切り替わった。両足院といえば半夏生のころの初夏のお庭がすばらしい。今年の特別拝観はあるのだろうか…。そしてZoomでちゃんと座禅に集中できるのか。うっすら心が揺れる。

「両足院」(京都市東山区)での通常の座禅会の様子

柝(たく、拍子木のようなもの)がカチッと鳴って、引磬(いんきん)の音がチーンと響いたのを合図に、10分の座禅タイム。途中、「内面を意識しようとばかりしていませんか? 形も大事ですよ」「体の中の血管に、魚が泳いでいるように感じられますか」と、心と体のつながりに意識を集中できるよう、絶妙のお声がけ。それを進行役のジュンさんが通訳する。こういうガイドが適度にあると「Zoomにらめっこ」状態にならなくていい。

座禅の後は、参加者とチャットで質問タイム。「禅の宗派、臨濟と曹洞とはどう違うのか?」と専門的な質問もあれば、「自己主張の強い人と、どう折り合えばいいですか?」と、仕事上の悩み相談をする人も。「まず、問いを共有してはどうでしょう?」と伊藤さんは、やんわりご回答。人生相談の相手に「お坊さん」がいてくれるって、ありがたい。

参加者からは「一緒に座っているという気持ちになりました」という感想もあった。アメリカ、台湾、香港など海外からの参加者もいて、現実には会えない人たちと、時差があるなか、一緒に座ることができるのは、デジタル時代の不思議なご縁。そしてこの不安な時期を一緒に過ごしているご縁でもある。お寺での座禅会に替えておこなわれたZoom座禅会だが、自分の部屋で座るほうが、禅的な「いま・ここ」感は、より強い。座禅をイベントでなく、生活のなかに生かす効用もあると感じた。
 
初めてのZoom座禅会に伊藤さんも「思っていたよりも、実際の座禅に近い、静かな座禅ができました」と手応えを感じているという。「グローバルにいろいろな方に参加してもらうことを望んでのチャレンジでした。ネットであっても、つながりを共有できることを信じています」。主催者にも参加者にも初めての経験を共有したことで、座禅の後はリラックスするばかりでなく、じんわり勇気も湧いてきた。

「雲是(うんぜ)、という名前には、雲のような自由な自分を取り戻すという意味が込められています。こういう大変な時期なので、自分を見つめ直すことが大切です」と伊藤さんは話す。これ、ずっとやってほしいなあ。参加費はドネーション(寄付/喜捨)となる。

取材・写真/沢田眉香子

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