休業の関西の映画館「賑わう客席を必ず取り戻す」

2020.4.10 07:00

第七藝術劇場も8日以降は休館をしているが、再開時期は未定。終映日を迎えることなく中断した作品の扱いについては、「配給会社と相談の上、できる限り再上映をしたい」と小坂さん(左)は話す

(写真2枚)

新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言を受けて、8日から臨時休業する映画館が相次いだ関西。そんな窮状を打破するべく、映画館自らが動き始めた。

宣言以前から外出自粛による観客数激減、公開を延期する新作映画の増加にともない、多くの劇場関係者が経営危機について訴えてきていた映画業界。

発令対象都市の一つである大阪のミニシアター「第七藝術劇場」(大阪市淀川区)の番組編成・小坂誠さんは、「どの映画館も社会における感染拡大予防と経営維持という、ふたつの観点の間で悩み苦しみ、それらを両立させるために補償を求めていました」と、話す。

緊急事態宣言に際し、行政から休業要請の対象に映画館が入るという報道もあり、「これで『補償なき自粛から抜け出せるかもしれない』と休館を決断しました」と、一瞬希望の光が見えたそう。

ただ、7日には休業要請が見送られ、各映画館の休館という決断は、引き続き自粛に。「私たちの決断の意味を後から書き換えられた気がして虚しさがありました」と率直な胸中を明かした。

そんななか、閉館という最悪の結果を防ぐために、同劇場も参加し、関西ではミニシアターが連携して「SAVE OUR LOCAL CINEMAS」という取り組みを4月6日から始動している。

関西の13館共同でTシャツ販売と寄付支援を呼びかけており、売り上げは参加している参加劇場に均等に分配される。

小坂さんは、「すでに予想を超えるご支援をいただいています。映画を好きでいてくださる方々のおかげで、私たちは映画館を続けることができます。お客さまで賑わっていた日常がすでに懐かしいですが、あの光景を必ず取り戻せると確信しています。当館でも新たな支援をお願いするかもしれませんが、さまざまな形でお返しします」と力を込めて語ってくれた。

「SAVE OUR LOCAL CINEMAS」は大阪の第七藝術劇場、シアターセブン、シネ・ヌーヴォ、兵庫の元町映画館、神戸映画資料館、宝塚シネ・ピピア、パルシネマしんこうえん、豊岡劇場、京都の京都みなみ会館、出町座、京都シネマ、福知山シネマ、舞鶴八千代館が参加。支援は1口1000円から、公式サイトにて。

取材・文・写真/田辺ユウキ

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