昭和の迷作ゲーム「たけしの挑戦状」舞台化に背負う使命とは

ゲーム『たけしの挑戦状』の舞台化にチャレンジした作・演出家の上田誠
ビートたけしが監修という鳴り物入りで、1986年に発売されたゲーム『たけしの挑戦状』。あまりのアバンギャルドさにクレームが殺到し「伝説のクソゲー」と呼ばれた同作が、『たけしの挑戦状 ビヨンド』として舞台化される。作・演出を務めるのは、熱狂的なゲームマニアで、代表を務める劇団「ヨーロッパ企画」の舞台も「ゲームっぽい」と評される上田誠。単にゲームの世界を立体化するだけでなく「たけしさんのメッセージを読み取りたい」と意気込む上田に、舞台化への「攻略法」を訊いた。
取材・文/吉永美和子
「愛すべきクソゲーは好き」(上田誠)
──このゲームの発売は、上田さんが小学生のときですが、実際に遊んだのですか?
最初は親戚のお兄さんに貸してもらいました。普通のサラリーマンが主人公で、いきなり冒頭で社長に説教されたあと、コマンドで「社長を殴る」を選べるとか(笑)。外に出れば、道端のゴミ袋まで描かれるという、生活感あふれるヤサぐれた風景が広がってるし。いろんなことに衝撃を受けて、自分でソフトを買いました。
──上田さんはこのゲームをクリアできた、数少ないひとりだそうですね。
80万本ぐらい売れたけど、99%の人が解けなかったんじゃないですかね? というか、最後までやろうと思わなかったかも(笑)。僕も買った当時は投げ出しました。そのあと高校生のときに、攻略本片手にクリアしました。

──今回の舞台版は、どのような感じになるのでしょう?
現代の会社員が、久々に『たけしの挑戦状』をプレイしたことで、大変な事態になっていくというお話です。ゲームの「中の世界」と、プレイヤーと周りの人々に巻き起こる騒動という「外の世界」を、同時に見せていくつもりです。
──以前上田さんがゲーム『バーチャファイター』を舞台化した『TOKYO HEAD』も、ゲームの世界よりも現実のプレイヤーのドラマを中心に描いて「そんな形で、ゲームを舞台化できるのか!」と評判になりましたよね。
あの作品は、ゲームのなかのことはあまり描かなかったけど、今回はちゃんとみなさんを、ゲームの世界に没入させるつもりです。さらに、この問題作が放たれた1980年代のゲーム業界や、たけしさんを取り巻く芸能界や世間の状況とか、そういうプラスαのことも描いていけるんじゃないかと思ってます。
──たとえば2019年のヨーロッパ企画公演では、学校の七不思議ならぬ77不思議を、律儀にカウントしながら77個全部見せるとか、「そんなバカな」と言いたくなるアイデアを実現するのが、上田さんのコメディの特徴です。今回は、どんなアイデアを考えてますか?
美術は、ゲームのドット絵を立体化した「ボクセル」を使ってみようかと思ってます。僕はドット絵に落とし込まれた何かに、遺伝子レベルとしか言いようがないぐらい、グッと来るものがあるので。演出としては、ゲーム独特の人間の動きってあるじゃないですか? あれをやりたいんです。
──あの何か、ピコピコっとした感じの動きですか?
そうそう。いかにもゲーム的な世界のなかに、ある現実を見るというのは、今回の僕なりのテーマなので。その動きはこれから稽古場で試していくんですけど、すごく面白くなるかもしれないし、すごくチープになるかもしれない。

──下手したら「クソゲー」ならぬ「クソ劇」になりかねない。
本当にそうです(笑)。でも上手く行けば、リアルにゲームのなかに入ったような世界ができるはずなので、それはめちゃくちゃ楽しみですね。
──上田さん自身、何か「クソゲー」の思い出ってありますか?
僕は「クソゲーだ!」って、腹を立てることがないんです。つまんないならつまんないなりに、そこから何かを学んだり、もしくは笑いの種にできますからね。むしろ人の営みが見えるような、愛すべきクソゲーは好きです。「こういうことをやろうとしたんだね。その心意気やよし!」みたいな。
──つまり上田さんにとって「クソゲー」というものは存在しない。
いや、名作と言われるけど、何かの二番煎じのようなヤツは「クソー!」と思います。それはゲームに限らず、芝居もそうなんです。僕は、実験好きなところがあるんで「こんな野心で作ってみたけど、失敗しました」という徒花(あだばな)のような作品はいいなあと思います。『たけしの挑戦状』も野心はすごいですし、実際にプレイしてみたら面白いですからね。ただクリアできないだけで(笑)。
『たけしの挑戦状 ビヨンド』
日程:2020年5月2日(土)・3日(日)
会場:サンケイホールブリーゼ(大阪市北区梅田2丁目4-9)
料金:8500円(全席指定)
電話:0570−200−888
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