評論家が観るスカーレットvol.9「スリリングに効果的」

2020.3.27 20:00

第144回より、大皿を作る川原武志(伊藤健太郎)

(写真10枚)

数々の映画メディアで活躍し、本サイトLmaga.jpの映画ブレーンでもある評論家・ミルクマン斉藤。映画の枠に収まらず多方面に広く精通する彼は、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)も注意深くチェックするという。『スカーレット』第24週(3月16日〜21日放送)を振りかえって思うところを訊いた。

第24週「小さな希望を集めて」

前週、どストレートな筆談での告白後、武志から冷たい言葉で急に避けられるようになった真奈。もちろん、いつ死がやってくるか判らない武志の意地っ張りだってのは誰でも判る。

それでも雨のなか、工房の前に立つ真奈。「病気やからウチと会うの避けてたん?」と、あんた今まで判っとらんかったんかい!と視聴者全員ツッコむ間もなく、「そういうのは許可しません。しませんのでまた来ます」と、ド天然なりの芯の太さを発揮するシーンが、この週最大の見せ場であった。

左から、「患者の会」に参加する大崎茂義医師(稲垣吾郎)、日高れい子(楠見薫)、喜美子(戸田恵梨香)、理香子(早織)
左から、「患者の会」に参加する大崎茂義医師(稲垣吾郎)、日高れい子(楠見薫)、喜美子(戸田恵梨香)、安田理香子(早織) (C)NHK

一方、喜美子は「患者の会」代表の日高れい子と会う。おお、『あさが来た』『わろてんか』とBK朝ドラ(NHK大阪制作)では、もはや常連格の楠見薫さんじゃないか。

実は彼女、息子をとっくの昔に白血病で亡くしている。だがそんなこと知らずに「明るい未来を持ちましょう」と説くれい子に反発するのが、この時点で息子が切迫した事態にある安田理香子。これまた、おお『帰ってきた時効警察』で真加出さん役を演じた女優・早織じゃないか!

相変わらず地味~な演技ながら、切羽詰まってどうしようもない、しかし息子にはそんな素振りは見せられない母親の辛さを、いたずらに悲嘆に陥らず演じていて、これまたイイのだ。

ところで、この週のもっとも大きな進展は、フカ先生(イッセー尾形)からの絵葉書にあった「青い水紋」を武志が陶芸として表現するのに成功するということだった。

作品のイメージ図を喜美子(戸田恵梨香)に見せる武志(伊藤健太郎)
作品のイメージ図を喜美子(戸田恵梨香)に見せる武志(伊藤健太郎)

急に降ってきた雨が、椀のかたちで干されたビニール傘に溜まっていく。止んだあとの、青空を映す水たまりに、傘からしたたる雫が波紋を描く。「水を動かすことにしてん。生きてる、いう感じの。器のなかに波紋を描くんや」と武志。

その成果は見事成功、となるが、もう少しじっくりと確かめたかったな。試作を重ねるシーンに重なる、冬野ユミのピアノによる変奏曲もスリリングに効果的だっただけに。

文/ミルクマン斉藤

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