東京進出のクロスバー直撃「僕らは雑草世代の代表格」

2020.3.28 21:00

左から、小道具をすべて手作りする前野悠介、ギャグを次々繰り出す渡邊孝平

(写真9枚)

「給料3000円時代も。耐え忍ぶ力が育った」(渡邊)

──「baseよしもと」「5upよしもと」「よしもと漫才劇場」と17年の間に若手が出演する劇場も変わっていきましたね。

渡邊「baseよしもとの舞台に立つには、まずオーディションがあったのですが、合格するのに4年くらいかかったかな?」

前野「ネタをしても30秒くらいで切られる。渡邊がセリフを噛み倒して、ゴングが鳴って、僕は挨拶だけして袖にはける。箸にも棒にも掛からぬ4年間。3年目でやっと2分間ネタをやり切れるようになりました」

渡邊「合格した瞬間はまだ覚えていますね、合格音とかも。たったらった・・・あれ? 覚えてない! でも、落ちたときの音は覚えています。一時期、その音を携帯の目覚ましのアラームにしていたんです。ドキッとするから絶対起きられるんですよ」

前野「それくらいトラウマな音。でも、苦労して舞台に出られるようになったので、最初は土足OKなのに、楽屋も靴を脱いで入っていましたね。楽屋は神聖やった」

NSCで出会った2人。ピンで活動中に相方を探していた前野さん。なんばの駅前でデート商法に引っかかったとき、偶然同じビルの一室に居合わせたのが同じように騙された渡邊さんだったそう。不思議な縁を感じてコンビ結成に
NSCで出会った2人。ピンで活動中に相方を探していた前野さん。なんばの駅前でデート商法に引っかかったとき、偶然同じビルの一室に居合わせたのが同じように騙された渡邊さんだったそう。不思議な縁を感じてコンビ結成に

渡邊「それが今では、出番ギリギリまでソファでごろんと寝ている・・・! baseよしもとがなくなり、5upへと変わったときに、僕らは大阪・阿倍野のスペースナインという劇場に移ることになったんですが、本当に狭いし、お客さんも少なくてツラかった」

前野「ツラ過ぎて、渡邊に何も言わず髪の毛をピンクにして行ったことも。あの時期は精神がやられていましたね」

渡邊「それまではバイト代を足せば生活はできるという感じだったのに、一度給料が3000円だったことがあって。あ、終わったと思いました。でも、あれを耐えたということはだいぶ強くなっているし、東京でツライことがあっても平気かと」

前野「阿倍野時代は、すっごい加圧トレーニングしたと思っています」

──そんな大変なときも、芸人を辞めたり解散するという話はなかったんですか?

渡邊「耐え忍ぶ力や鈍感力が育っているんじゃないかと。普通、しんどいときはコンビで話し合うと思うけれど、僕らはあえて言わない。ツラい時代も耐えてきたし、細かいところは違うと思うけれど、大まかな考えは一緒なはずと」

前野「性格は真逆だけど、言わないというとこだけ同じなんです。俺がこう考えているから、渡邊もそうだろうと。向いている方向は一緒かなと。あと、僕らNSC25期生は雑草の世代と呼ばれているんです。ジャルジャルやプラス・マイナス、銀シャリが同期なんですが、なかなか良い花は咲かせへんけど、なかなか枯れないって銀シャリの橋本が言っていました。そのなかでも、僕らは代表格と言われている。確かに諦めは悪いと思いますね」

渡邊「まぁ、楽しくやれていますしね! お休みの日でも楽屋に来て、後輩と遊んで。高校の部活みたいな感じ。大阪を離れるとそれがなくなるのが寂しいですね」

バウムクーヘンを一枚ずつわけてくれる機械も、『R-1ぐらんぷり』の準決勝で使った小道具。なんと「読者プレゼントにしますか?」と、ご本人たちはもちろん、後輩のサイン入り
バウムクーヘンを一枚ずつわけてくれる機械も、『R-1ぐらんぷり』の準決勝で使った小道具。なんと「読者プレゼントにしますか?」と、ご本人たちはもちろん、後輩のサイン入り

──東京に行く前に、お互いのココを治してくれ!という点はありますか?

前野「渡邊の滑舌の悪さと、声の小ささですかね。1分間で40回噛んだことがあるんですよ! 大どんでん返しというセリフを『どですかでん』って言っちゃったり。噛みすぎて吉本新喜劇のセリフが削りに削られ、4行に減ったことも。最終的に噛まずに言えたのが、『浪花警察署の渡邊です』という自己紹介のセリフだけ。あとの3行は全部噛んで、敬礼して『では!』と帰るだけなのに、『どあ!』って言ったんですよ」

渡邊「セリフが少なすぎて逆に緊張して」

前野「本人は緊張しないみたいな感じで言っているんですけど、いつもガッチガチで、超音波の電動歯ブラシかっていうぐらい震えているんですよ」

渡邊「武者震いってやつですよ。ひとすべりしたら、ブルブルって震えるんです!」

──ネタを拝見していると、緊張の様子なんて微塵も感じないのに意外です。東京に行くと緊張する機会も増えると思いますが、ご活躍を応援しています!

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