映画評論家が観る朝ドラvol.5「丁寧なシナリオ」

2020.2.29 21:00

第118回より。左から川原武志(伊藤健太郎)、十代田八郎(松下洸平)、川原喜美子(戸田恵梨香)。 かわはら工房・前で久しぶりに会話をする3人 (C)NHK

(写真2枚)

数々の映画メディアで活躍し、本サイトLmaga.jpの映画ブレーンでもある評論家ミルクマン斉藤。映画の枠に収まらず多方面に広く精通する彼は、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)も注意深くチェックするという。『スカーレット』第20週(2月17日〜22日放送)を振りかえって思うところを訊いた。

第20週「もういちど家族に」

なんとも未練たらしいのが気になるサブタイトル。「酔っぱらって『ハチさんハチさん』とうわごと言ってた」と、アンリにバラされる恥ずかしい喜美子。

母に内緒でスッと八郎と連絡していた父親恋しの武志(まあ、幼少期に出て行かれたきりだからそれは仕方なし)。そして息子に会いにきたついでに川原家にも足を運んでしまう八郎。この親子3人の関係性をじっくり描いた第118・119回は丁寧なシナリオで見せる。

陶芸の『次世代展』へ向けての作品づくりに悩む武志。喜美子のアトリエへ八郎を招くが、なんとも気まずい空気で自動販売機のジュースを買いに行く八郎。「シュワシュワ」と「つぶつぶ」の注文に、売り切れてても適当に別商品で誤魔化すことなく駅前まで買いに行ってる八郎。そんな性格なのは喜美子がいちばん知っているのだ。

そんな夫婦のなんとももどかしい「漫才」は、以前何度も繰り返されてきた今風でない夫婦漫才のリフレインだが、今もお互いを意識しあいながらも婚姻関係は解消したふたりゆえの距離もあって、いくらかの哀しさを伴った情趣がある。

八郎(松下洸平)にハグする喜美子(戸田恵梨香)
第120回より。八郎(松下洸平)にハグする喜美子(戸田恵梨香)

しかし「離婚した夫婦なのに、ンなことあるかい」とはどうしても思うし、そもそも八郎の離別の動機がけっきょく曖昧なままになっているから感動といった次元には至らない。さらにアンリがこの週で退場(喜美子、一緒にパリ行かんかい!)。面白いキャラが出てきても2週くらいで消え失せるのがこのドラマのつまんないところではあるのだな。

で、これを書いている時点で次週(第21週「スペシャル・サニーデイ」)月曜の回を観てしまったのだが・・・。ルーティーンを壊す試みだけど、これは不安しかない(笑)。それはまた次回で。

文/ミルクマン斉藤

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