ダンスにラップ…知恩院の奇抜な種まき

2019.11.3 21:30

ブレイクダンスユニット・廻天坊主(浄土宗・天台宗僧侶/11月4日出演)。右が知恩院僧侶・河原さん

(写真11枚)

2018年に「ナムい」という言葉やEDMが鳴り響くPR動画でSNS界隈を賑わせたお寺をご存知だろうか。そのお寺とは、1000年以上の歴史を持つ浄土宗の総本山「知恩院」(京都市東山区)。今年は11月1日に開幕したイベント『知恩院 秋のライトアップ2019』で、僧侶がブレイクダンスやラップバトルを披露。・・・そんなことしてバチ当たらない?大丈夫? 知恩院の僧侶のみなさんに、突撃インタビューをしてきた。

最初にお話を伺ったのは、ブレイクダンスチーム・廻天坊主をこのイベントのために組んだという知恩院の僧侶・河原さん。

──廻天坊主は浄土宗と天台宗の僧侶2人からなるチームですが、結成のきっかけを教えてください。

河原さん「私が大学時代にダンスサークルに入っていたことから、『秋のライトアップでブレイクダンスをしないか』とお話をいただき、現在天台宗の僧侶としてお勤めする大学時代のサークル仲間に声をかけました。彼は、天台宗の総本山である比叡山延暦寺の僧侶です」

──え、総本山同士!? 別の宗派同士で布教活動をすることは、あり得るんですか?

河原さん「それが、今回の目的です。通常は別の宗派の方と何かをすることは、まずないです。ですが、仏教の教えを広めたいという目的は同じ。前々から宗派間を飛び越えた取り組みをできないかと考えており、ブレイクダンスで実現することができました」

ブレイクダンスを披露する知恩院 僧侶・河原さん

──素晴らしいですね。では、宗派間を超えたパフォーマンスの見どころは何でしょうか。

河原さん「まずは法話から始まるところですね。ただパフォーマンスするのではなく、平和を目指す想いを伝えることが目的なので、オリジナルの法話を交えたトークを用意しました。パフォーマンス中は、通常のブレイクダンスに合掌や礼拝などの要素を取り入れている部分が見どころですね。ギリギリを狙っています(笑)」

──面白いですね! 今後、廻天坊主は、人数を増やす予定はありますか?

河原さん「はい。ほかの宗派を巻き込んで、どんどん規模を大きくしていきたいです。私たちの活動に共感していただける場所からオファーがあれば、どんどん出向いてパフォーマンスしていきたいです。『廻天』は仏教用語で『天下の形勢を一変させる』という意味を持つんです。今、若い世代のお寺離れの危機感も感じており、ダンスを通してひっくり返していけたらいいなと思っています」

PR動画ではラップに初挑戦した知恩院 僧侶・磯部さん

次にお話を伺ったのは、『知恩院 秋のライトアップ』を取り仕切る知恩院 僧侶・磯部さん。実は来場者限定動画でラップバトルをしている。

──個性的なポスターイラストにブレイクダンス、ラップ・・・知恩院の前のめりなプロモーションの姿勢は、どこから来ているのでしょうか。

磯部さん「全て『来てもらうための種まき』です。かなり奇抜な種まきになってますが(笑)。今のお寺のイメージって、亡くなったときにいく場所ですよね。身近ではない。でも昔は寺子屋と呼ばれていたように、地域の方の集まり手を合わせて心を休める場でした。お寺を広めるための『教化活動』も昔のままではいけないと思い、2〜3年前から若い方に迎合するプロモーションを考え始めました。『ナムい』は、まさかこんなに話題になるとは思わずびっくりしましたが(笑)」

今年も攻めたポスタービジュアルが完成

──正直、批判とかはありませんか・・・?

磯部さん「ありますよ。普通のお寺ではなく、浄土宗の総本山ですからね。奇抜さやビジュアルが先行してしまっていますが・・・。基礎となっているのは、お寺が身近になってほしいという真面目な気持ち。来てみて、体感していただきたいです」

──実際、若い方も増えているのでしょうか?

磯部さん「増えていますね。若い方がずっと話を聞いてくれているのは、大変うれしいです。今はある程度のことがスマホのなかで完結してしまうので、人との繋がりの希薄になっています。若い方こそ、リアルな温かい繋がりを求めているのではないでしょうか。お寺やお坊さんの存在が、そういった寂しい部分を解消していく存在になれたらと思います」

知恩院のお坊さんバンド・ぽくぽくすまいる(写真は2018年開催時の様子)

──磯部さんを始めとする僧侶のみなさんの想いが素晴らしいですね・・・。感動しました。

磯部さん「こうして、総本山が開拓していくことで、ほかのお寺も挑戦しやすい環境を作っていけたらと思います。ラップも初めて挑戦しましたが、視野が広がり面白かったですよ。そのほかもいろんな催しが1カ月間開催されるので、ぜひ何度も足を運んでほしいと思います」

『おてつぎフェス』に参加すると、お坊さんから直接ステッカーがもらえる(10種類あるステッカー5枚以上集めると特典あり)

ライトアップ企画のひとつとして開催される南無&ピースな浄土宗フェス『おてつぎフェス2019 ーHAND TO HANDー』に出演するお坊さんは過去最多とのこと。ブレイクダンスやバンドなどパフォーマンスが披露される「坊主・オン・ステージ」のほか、ギターや紙芝居を使った「変わりダネ法話」などさまざまな催しを体験して、多くのお坊さんの想いに触れてみては。特に4日のブレイクダンスショーは必見!

取材・写真/小田切萌

『知恩院 秋のライトアップ2019』

期間:2019年11月1日(金)〜12月1日(日)
時間:17:30〜21:30(21:00受付終了)
会場:知恩院(京都市東山区林下町400)
料金:大人800円、小中学生400円

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