憧れ重ね、雪組・彩風咲奈主演作が開幕

2019.10.24 07:00

劇中の映画場面でマタドールや詩人など、さまざまな衣裳を着こなす彩風咲奈。抜群のスタイルが映える

(写真5枚)

宝塚歌劇団雪組男役スター、彩風咲奈(あやかぜ・さきな)主演のミュージカル『ハリウッド・ゴシップ』大阪公演が、10月23日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で開幕。首席で入団し13年、着実に華と実力をつけてきた彩風が男役として新たな魅力を発揮した。

舞台は1920年代のハリウッド。ときにゴシップ記事がスターの虚像を生む、映画の都の光と闇が、さまざまな人物によってあぶり出される。往年の大女優・アマンダ(梨花ますみ)に見出され、映画スターの素養を身に付けていくコンラッド(彩風)の成長と輝きは、数々の舞台を踏んできた彩風ならではの説得力。全編通して、野望とヒューマニティーとの対比を巧く見せて惹きつけた。

映画の制作発表会に登場した新人女優のエステラ(潤花)と、若手スターのジェリー(彩凪翔)。右端は映画監督のロバート(真那春人)
映画の制作発表会に登場した新人女優のエステラ(潤花)と、若手スターのジェリー(彩凪翔)。右端は映画監督のロバート(真那春人)

彼と同じく映画を愛するエステラは、今劇場では初ヒロインの潤 花(じゅん・はな)。人間観察の鋭い芯の通った女性を好演した。わがままな大スター、ジェリー役の彩凪 翔(あやなぎ・しょう)は、華やかな持ち味にスターゆえの悲哀もプラスし、物語を大きく動かす。

映画スタジオでの思惑や嫉妬、「さびれた」ダイナーでの微笑ましい人間模様などが織り交ざった物語に、ふと人間だれしも自ら作り出した虚像と闘っているのでは、と感じさせるほど、出演者それぞれの演技にドラマ性があった。

フィナーレは男役黒燕尾のセクシーなタンゴなど各ナンバーが充実。彩風はショースターとしての本領を発揮、洒落たニュアンスの振付を格好良く決め、潤とのストーリー性あるデュエットダンスでも魅せた。

初日の挨拶で彩風は、「(主人公の)映画に憧れる気持ちと、宝塚の舞台に憧れていた気持ちを重ね合わせていました」と、初心にかえったことを告白。さらに「お客様が『私はハリウッドの住人だったかしら』と思うほど熱中して観ていただけるよう、一致団結し心を込めて千穐楽までお届けしたいです」と話し、スタンディングオベーションが起こると、「今日は作品の感想に花を咲かせ、たこ焼きやお好み焼きを食べてください!」と満面の笑顔を見せた。公演は10月31日まで。チケットは完売。

取材・文/小野寺亜紀

宝塚歌劇雪組公演 ミュージカル・スクリーン『ハリウッド・ゴシップ』

日程:2019年10月23日(水)~10月31日(木)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:全席指定8000円
電話:06-6377-3888(梅田芸術劇場)

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