恒例の評論家鼎談、邦画・勝手にベスト3

塩田明彦監督『さよならくちびる』の成田凌
「狂騒的ではあるけどクール、かなり独創」(斉藤)
田辺「で、アニメーション映画といえば、『天元突破グレンラガン』『キルラキル』でタッグを組んだ今石洋之・中島かずきによる『プロメア』も外せないですね」
斉藤「『海獣の子供』も含め、今夏の東宝アニメーションのクオリティは恐ろしいね。まあ、作ってるのが(アニメ制作会社の)トリガーやから。『プロメア』は劇団☆新感線度数が上がりまくってる」
春岡「まあ、(劇団☆新感線の座付作家である)中島かずきだからな」
斉藤「ほとんど抽象。火と氷が戦うんだけど、火はすべて三角で、水は四角。パワードスーツ着た火消しと、炎を操る人種・バーニッシュが戦う物語なんだけど、スクリーン上ではほとんど三角と四角の戦闘という」
田辺「それをやれる勇気って、よく考えるとスゴいですよね」
斉藤「また、司政官役の堺雅人の上がり具合がすごいのよ。最初は穏やかな人物なんだけど、段々悪人になっていくのよね。ぐおおおおおって上がっていって、最後は喉がちぎれるくらいに叫んでるからね。声がひっくり返りまくってもお構いなしに」
春岡「やってて楽しそうだよな(笑)」
斉藤「で、主人公の火消し・ガロ役の松山ケンイチは、終始ハイテンションで。そういや、『きみと、波にのれたら』の彼氏も、消防士やったな」
田辺「外国映画では『スパイダーマン:スパイダーバース』に度肝抜かれましたけど、今年の上半期はアニメーション映画が豊富でしたね」
斉藤「あと、あれ観た? 長久允監督の『ウィーアーリトルゾンビーズ』」
田辺「個人的な好みではなかったんですけど、お話はめちゃくちゃ面白かったです。ずっとRPGのゲーム音楽が流れていて、少年少女がサバイバルしていく」
斉藤「あの監督、ちょっとスゴいと思った。何者!?って」
田辺「電通マンですよね。ずっと電通でCMプランナーをやってて、2017年の短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』(監督&脚本)で、『サンダンス映画祭』のショートフィルム部門でグランプリを獲ったんですよ。それもまた非常にいい!」
斉藤「やっぱり脚本も書けるのがいいよね。皮肉が効いてるし、いちいち醒めてて、決して盛り上げようなんてしない」
田辺「そうそう。こうしたら、人って盛り上がるんでしょ、みたいなことを見透かしている感じとか。物語としては、両親を亡くしたけど泣けなかった4人の13歳が、ココロを取り戻すためにバンドを組む、というものなんですけど」

春岡「で、その子どもたちが歌ったらすごいってことで、池松壮亮ら大人たちが儲けようと集まってくるわけだけど、4人はそんならそんでいいじゃん、っていう。最後まで同じテンションで、まったく熱さがない。あれはちょっとビックリした」
斉藤「混沌としてんねんけども、映画的にはわりとカッティングが速くて、いろんなものが詰め込まれている。狂騒的ではあるけどクールだし、かなり独創やと思う。似た映画がありそうでない」
田辺「好き嫌いは別にして、新しい映画への挑戦はめちゃくちゃ感じました」
春岡「そうなの、長久監督ってそんな意欲的な人なの?」
田辺「その意欲は感じますけどね。まあ、僕らみたいなこういう発言を聞いたら、長久監督なんかは『あー、またなんか言ってるわー』って思うかもしれないですけど(笑)。あとは、片山慎三監督の『岬の兄妹』ですかね。画質が乾いてて、めちゃくちゃかっこいい。特にあの地を這うようなカメラワークは壮絶でした」
斉藤「物語はめちゃくちゃ重たいんだけど、そう感じさせないのはキャメラワークとあの主演のふたりよ。松浦祐也と和田光沙。徹底的にコメディにしてるよね」
田辺「海辺のシーンで、カメラががーっとひいて動くじゃないですか。あれ、ものすごい下から行ってるんですよ。唐突にすさまじいことをやってくるんで、一瞬わけわからないんですよ(笑)」
春岡「(アスファルトを掘り返すほど、極端なローアングルで知られる映画監督)加藤泰ばり?」
斉藤「まあ、加藤泰的ではあるけど、加藤泰はあんな動き方はしない。海辺でただ話し合うシーンなんやけど、意味もなくキャメラがどんどん高速で引いていくっていう。あれは、キャメラマンがやりたいと言ったんだって。やっぱりポン・ジュノ監督の影響は強く受けていると思うよ。『母なる証明』とかさ。まあ実際、助監督やってたわけやし」
田辺「そうですね。あの冒頭の雨に濡れて外にでてくるシーンとか」
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