身近な古墳が世界遺産に、長年の夢実現

2019.7.7 08:00

フェニーチェ堺で開催された『「百舌鳥・古市古墳群」世界遺産委員会 パブリックビューイング』。登録後は参加者全員で記念撮影

(写真5枚)

大阪府の堺市・藤井寺市・羽曳野市にまたがる「百舌鳥・古市古墳群」が7月6日、世界遺産に登録。アゼルバイジャンで開催された『第43回世界遺産委員会』では満場一致で承認され、街なかに古墳が現存することも大きなポイントとなった。

2006年から世界遺産に向けた取り組みが始まり、2017年に4度目にして国内推薦に選定。2019年5月にイコモス(国際記念物遺跡会議)から勧告された同古墳群。多目的ホール「フェニーチェ堺」(堺市堺区)では、7月5日・6日に『「百舌鳥・古市古墳群」世界遺産委員会 パブリックビューイング』を開催され、登録の可否が審議される様子を中継した。

委員からは「10年以上かけたとあってすばらしい調査書、読んでいて面白い」「日本だけの文化」「街の真ん中にある古墳が、このように残っているとは信じられない」と称賛のコメントばかりで、異議は申し立てられず。審議開始から約15分、他国に比べて短時間で決定が発表され、会場に集まった人々は歓喜の声を上げた。

絶景と名高い「ニサンザイ古墳」近くに住む家族。手にしているクリアファイル(左)がその写真だ
絶景と名高い「ニサンザイ古墳」近くに住む家族。手にしているクリアファイル(左)がその写真だ

もともと5日に登録が想定されていたこともあり、2日とも長時間待っていた人々が大半だった同会場。「ニサンザイ古墳(堺市北区)近くに住む親子3人組は、「昨日は17時半から23時まで、今日も夕方までずっと待っていました。16年前に家を買うきっかけとなったのが、窓から見えた美しい古墳の景色。年月をかけ整備され、きれいになったのを見ていたので、楽しみに待っていました」と、語った。

また、『堺おおいずみロータリークラブ』の一員である女性は、「反正天皇陵古墳(田出井山古墳・堺市堺区)がすぐ近く。父と一緒に約10年前から活動して、オリジナルのぼり旗も2代目。学校のレクリエーションも古墳だったり、古墳とともに育ってきました。とにかく感無量です」と、満面の笑顔を浮かべた。

4世紀後半から6世紀前半にかけて、堺市・羽曳野市・藤井寺市で230基以上造られたと言われており、現在は89基(うち49基が世界遺産に登録)が現存。公園・学校・工場内にあったり、隣に家が建っていたり、「こんもりした緑が見えたら、古墳だなって。特別なものに感じないぐらい」という声もあったほど、周辺市民にとって身近な存在だ。

今回の登録で世界からの観光客が訪れる可能性が高くなった「百舌鳥・古市古墳群」。日常に溶け込んだ古墳だからこそ、今後の施策に注目が集まっている。

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