岸田國士戯曲賞、2年ぶりに関西の作家へ

舞台『山山』より 写真/松見拓也
「演劇界の芥川賞」と言われる、日本最高峰の戯曲賞「岸田國士戯曲賞」。3月12日に第63回の選考会がおこなわれ、京都在住の劇作家・松原俊太郎が、京都の劇団・地点に書き下ろした『山山』が選ばれた。
『山山』は、2つの山にさまざまな理由で集まった人々の不条理な会話と詩的なモノローグを通じて、3.11後の日本の空気感を描き出した作品。選考委員のひとり・岡田利規に、「この人はすごいな、かなわないな」と言わせしめたほど、先鋭的な文体が高く評価された。
この受賞を受けて、松原がコメント。「とにかく本を読んできた。大学ではちゃらついた経済学部に入ってしまった後悔を消去すべく読んだ。人のこと、自然のこと、動物のことがよくわからなくて読んだ。そして書いた。ひとりで読んで書く、その作業に限界を感じはじめていたときに、アンダースローで地点と空間現代による『ファッツァー』の上演に出会った。私は声を聞くことを知った。世界は、舞台は、戯曲はたくさんの声に満ち満ちている。声に魅惑されて書く、さいわいなことに、魅惑の運動はいまもなおつづいている」。

また地点の代表・三浦基も、松原の才能についてコメントを寄せた。「火をください、と言うと、マッチが出てきた。燃え尽きるまで持っていると火傷しそうになるから手放す。火は消える。するとまたマッチが出てきた。いくらでも持っているらしい。そもそも煙草を吸うために火が必要なのであった。しかしLEDの照明の下で、この火は何かを確実に照らしている。むしろ明るい世界だからこそ、この火遊びが必要なのだろう。松原俊太郎は、次々と点火してくる。今どき、マッチが出てきた。火傷に注意!」
『山山』は2018年に横浜で初演されたが、関西では未上演。この受賞を機に、関西公演が実現することを期待したい。なお、関西在住の劇作家の受賞は、第61回の上田誠(ヨーロッパ企画)以来2年ぶり。
文/吉永美和子
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