芹香斗亜、宙組初主演作で渾身の演技

2019.2.9 21:00

一つひとつのポーズが絵になる、カール(芹香斗亜)とアマーリア(天彩峰里)のラブシーン

(写真5枚)

宝塚歌劇団宙組による『「群盗-Die Rauber-」-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-』が、2月9日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で開幕。2017年に花組から組替えし、ますます頼もしさや色気が増した男役スター・芹香斗亜(せりか・とあ)が、ロックなオープニングナンバーからぐいぐいと惹きつけた。

18世紀ドイツでゲーテらとともに革新的な文学運動を支えた、シラーの戯曲処女作をミュージカル化。封建的な社会のなかで自由を求める若者たちの劇的なドラマが、迫力あるダンスやクラシックを活かした音楽とともに展開し、最後まで飽きさせない。

伯爵家の嫡男でありながら留学中に異母弟の策略で父と確執、正義のため盗賊の群れ=群盗の首領となるカールを演じるのが芹香。未来を信じる溌剌さから、皮肉な運命に立ち向かう強さと哀切まで魅力的に演じ、伸びのある歌声も聴かせる。特に愛するアマーリアと再会し、あふれる思いを目線や指先にまで込めた愛情表現は秀逸。

自由な思想を掲げた群盗の仲間たち。左から、芹香斗亜、なつ颯都、穂稀せり、雪輝れんや、愛海ひかる
自由な思想を掲げた群盗の仲間たち。左から、芹香斗亜、なつ颯都、穂稀せり、雪輝れんや、愛海ひかる

初ヒロイン(新人公演除く)に挑戦した天彩峰里(あまいろ・みねり)は、天性の華と説得力ある芝居でアマーリアの気高い魂を表現。フランツ役の瑠風 輝(るかぜ・ひかる)は、兄カールへの根深い嫉妬と心の痛みを見事に共存させた。それぞれ父親として深い演技を見せた凛城きらや希峰かなた、ストーリーテラーを頼もしく担った鷹翔千空(たかと・ちあき)、個性的な群盗の仲間や民衆、少年時代のフランツを印象深く演じた入団1年目の真白悠希まで、下級生の多い公演ながら自然に作品世界へと引き込んだ。

激しいダンスが繰り広げられるフィナーレの群舞では、宙組男役の層の厚さも感じさせた
激しいダンスが繰り広げられるフィナーレの群舞では、宙組男役の層の厚さも感じさせた

正義とは、罪とは──と、重厚なメッセージを投げかけられつつも、希望に満ちたカールの曇りのない笑顔に救われる、素敵な作品が誕生。初日のカーテンコールで芹香は、「明日へとつながるパワーを感じていただければ。(これからも)お客様のハートを盗んでまいりたいです!」と、「群盗」に因んで茶目っ気たっぷりに挨拶し、劇場は大いに沸いた。大阪公演は2月17日まで。

取材・文/小野寺亜紀

宝塚歌劇宙組公演 ミュージカル『「群盗-Die Räuber-」-フリードリッヒ・フォン・シラー作「群盗」より-』

日程:2019年2月9日(土)~2月17日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:7800円(全席指定)
電話:06-6377-3888

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