作家・福井晴敏が語る「ここからガンダムの新時代が広がっていく」

2018.11.24 07:00

小説『終戦のローレライ』『亡国のイージス』の作者でも知られる福井晴敏

(写真3枚)

11月30日に封切りされる映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』。その脚本を手掛けた作家・福井晴敏が、少し変わりつつあるガンダムについて語った。

「東京のお台場に実物大の立像がある、『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』の続編です。『UC』は30〜40代向けに作ったんですが、ふたを開けると10〜20代にもウケた。でも彼らがそれを観て昔の作品を見てくれるかと思ったら、実はそんなこともない。その1本が面白かったらそれでいい。今、そんなライトな感覚になっていて、それが主流になっているんですね」

「不死鳥狩り」作戦に投入された多目的試験用モビルスーツ・ナラティブガンダム © 創通・サンライズ

昔はガンダムと言えば、熱狂的なアニメファンに支えられてきたが、やはり時代的にもターゲットを変えないと成立しなくなっているという。

「2016年にアニメーション映画『君の名は。』がヒットしたように、今、アニメはオタクから離れた場所に来ていて、もっとライトな人にも観てもらえる作品が主流になりつつあります。NTの主人公を20代半ばにしたのも、作品に自分たちを投影してもらえればいいと思いました。完全に大人向けの作品は、構図の設定など手間はかかりますが、普通の映画として観られるものにはなっているはずです」

作品のタイトルの『NT』は、ニュータイプという意味も含まれているという。それは、ガンダムファンにとってはキーワードともいえる言葉で、作品ごとにその解釈は多岐に及ぶ。福井はそれを、「宇宙に適応進化した新人類」と解釈している。

「初期を知っている40代から50代ならすぐわかると思いますが、やはり若い人にはわからないかもしれませんね。宇宙に出たとき、人間の感覚が変わる。お互いが感じられる強度が強くなる。そんなファンタジーを追ったのがファーストガンダム(『機動戦士ガンダム』)です。宇宙で戦うと弾をよけるというレベルではなく、その前にいつ撃つかを予測して動かなくてはいけない。そんな先を読むニュータイプとは一体何なのか、『NT』ではそれを突き止めていこうと考えています」

暴走事故で消息不明になっていたユニコーンガンダムの3号機 フェネクス © 創通・サンライズ

このニュータイプの紐解きも楽しみだが、『NT』はもうひとつ重要な役割を持っていると福井は言う。

「『UC NexT 0100』というプロジェクトがありまして、新たな宇宙世紀100年の物語を作っていこうとしています。『NT』はその皮切りとなる重要な作品。ここからガンダムの新時代が広がっていくことになります。これから先、(伝達媒体としての)メディアも変わるのでどうなるか予測できませんが、ひとつひとつ楽しんでもらえる作品を作っていきたいですね」

予測しにくい時代をしっかり読み、咀嚼していくあたり、福井自身もニュータイプのようでもある。同映画は11月30日から全国の映画館で公開される。

取材・文/谷知之

映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』

2018年11月30日(金)公開
監督:吉沢俊一
出演(声):榎木淳弥、村中知、松浦愛弓、ほか
配給:松竹

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