視覚の魔術師エッシャー、大阪で作品展

2018.11.14 07:00

《相対性》1953年

(写真5枚)

現実にはあり得ない不思議な世界を描いた作品で知られるマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898〜1972)。彼の生誕120年を記念した展覧会が、11月16日から「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)でおこなわれます。

オランダに生まれたエッシャーは、大学で建築を学びましたが、学業の途中で版画家に転身しました。いつまでも循環し続ける階段や水、天地左右が入り組んだ部屋、あるモチーフが徐々に別のモチーフへと変容する様子などを描く彼の特異な作風は、若き日に旅行で訪れたイタリアの風景や、スペインのアルハンブラ宮殿で見た幾何学的模様から大きな影響を受けています。また当時の科学や数学の影響も大きく、彼自身が考案した独自の理論を元にした作品も見受けられます。

《眼》1946年 All M.C. Escher works © The M.C. Escher Company,The Netherlands. All rights reserved. www.mcescher.com

事実、彼の作品は美術ファンのみならず、科学者や数学者など幅広いジャンルの研究者にもインスピレーションを与え、商業デザインにも数多く取り入れられました。高度な知識に基づく知的な表現でありながら、どんな人にも驚きを与え、真理や神秘の一端を垣間見た気にさせてくれる。それがエッシャー作品の魅力です。

本展では、世界屈指のエッシャーコレクションで知られるイスラエル博物館の所蔵品から約150点を展覧。代表作、初期作品、直筆ドローイングなど幅広い作品が見られ、エッシャーが作り上げた唯一無二の芸術世界を堪能できます。幅4メートルに達する大作「メタモルフォーゼ2」などレアな作品も含まれており、必見の機会といえるでしょう。期間は1月14日まで、料金は一般1500円。

文/小吹隆文(美術ライター)

『生誕120年 イスラエル博物館所蔵 ミラクル エッシャー展』

期間:2018年11月16日(金)~2019年1月14日(祝・月)※11/19・26・12/31・1/1休  
時間:10:00~20:00(月土日祝は~18:00)※入館は閉館30分前まで 
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F)
料金:一般1500円、大高生1000円、中小生500円
電話:06-4399-9050

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