駿河太郎「あまり人を信用していなかった」

2018.11.11 06:00
(写真4枚)

「やっぱり親父(笑福亭鶴瓶)のことがあったから」(駿河太郎)

──あとこのドラマでは、「たかじんさんのホームグラウンドはどこにあるのか」にも触れていると思うんです。例えば、生活拠点として京都の祇園、大阪の北新地があるし、何人かの女性の間を行き来するし、そして実家には寄り付かなくなったりして。その展開を示唆する箇所が、学生時代にピーター・ポール&マリーの『500マイルズ』を歌うところ。あの曲は、故郷を離れる悲しみをこらえて生きる歌です。

たしかにあれは、たかじんさんのその後を示唆する楽曲ですよね。あの人の孤独は、色気、哀愁に結びつく。女の人が放っておけなくなる理由も分かります。でも、僕もたかじんさんのようにずっと孤独を感じて生きているし、なんなら「孤独でも構わない」とさえ考えています。関西にいたときも、東京に出てからも、僕もあまり人を信用していなかったから。

「『孤独でも構わない』とさえ考えていた」という駿河太郎

──それはどういう部分で?

やっぱり、親父(笑福亭鶴瓶)のことがあったから。

──こういう取材を受けるとき、インタビュアーから必ず鶴瓶さんのお話を尋ねられますよね。なので僕はあえて、お父様の名前を自分の口から出さないようにしていたんですけど。

記者さんとしては、親父のことを尋ねたくなるのは当然ですよね。いや、その気持ちはすごく分かるし、今となればそれは全然良いんです。でも、物心がついたときから「笑福亭鶴瓶さんの息子さんですよね」と言われ続けてきて。そのレッテルを覆す自分の力のなさもあるんですけど。今考えてみたら、そうやって言ってくる人たちを全然信用してなかった(笑)。

──ハハハ(笑)。でも今回のドラマも、たかじんさんの下積み時代のお話ですし、取材では「駿河さんに下積み時代ってあったんですか」とか質問されますよね。それって前提として鶴瓶さんの息子という事実があり、「そんなに苦労してないんじゃなの?」って。

そうそう。めっちゃ質問されるんですけど、「そこを聞くんやったら、俺のことをもっと調べてきてくださいよ」と言いたくて。結局、みんな僕が苦労をしてないと思っているんですよ。親父という前提があるから。でも、「いやいや、それぞれに歴史はあるんやぞ」って。

──このドラマでも、そういう「見え方」に関していろいろ描かれています。

外側しか見ない人が多い世の中だし、それを受け入れるしかない。たかじんさんも、経験とともに現実と向き合えるようになってきて、だからこそ、振り切ってあそこまでのMCができるようになったんですよね。

駿河太郎が演じた、43歳のころのやしきたかじん

──そんななかで、ふと見せる素顔がまた良いんですよね。たかじんさんの人間味を感じる描写として、爪を噛む癖があるところとか。神経質、小心者のタイプの人がやる癖です。

たかじんさんの役をやってから、僕、気がついたら知らん間に指を口元にやっているんですよ。新幹線に乗って考え事をしていたら、爪を噛んでいて。「わ、やばい! 俺、爪を噛んでる」と我に返り、「違う、俺こんなことやってなかったやん」って。たかじんさんが僕から全然抜けてくれない。早く出て行ってもらわなアカンわ(笑)。

──それだけ役に入り込んでいたということですよね。最後に、ちょっと遊びみたいな質問ですが、タイトルにちなんで、駿河さんが「なめとんか」と思ったことってありますか?

ざっくりしてますねえ! こんなに話したのに、最後のその質問が「なめとんか」ですよ(笑)。なんやろうなあ。でも僕がこの仕事を選んでしまって、先ほど話したみたいにいろんなレッテルがあって。でもここまで続けてこられたのは、「なめとんか、見とけよ」という悔しさが常にあったからなんです。そして、若い頃『なめとんか』と思っていた相手と、また仕事ができたりすると、自分がちゃんと前に進めている気がする。反骨精神って嫌いじゃないんですよね。だから、僕のなかでは「なめとんか」はとても必要な言葉です。

『カンテレ開局60周年特別ドラマ なめとんか やしきたかじん誕生物語』

放送:2018年11月20日(火)・19:00~20:59(関西ローカル)
出演:駿河太郎、中村ゆり、大東駿介、山口智充、西村和彦、石田明(NON STYLE)、ほか

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