一路真輝「気づけば歌をがんばってた」

「トップになれるとは思ってなかった」(一路真輝)
──実生活で母親になられて、舞台でも何かしら変化はありましたか?
よく結婚や出産などの人生経験が役立つと言いますが、演技力があれば母親役でも何でもできるはずなんです。でも「これは母になったからこそ湧きあがってくる感情かな」と思うときが時々あります。歌に関しても、年齢とともに、親になった自分を曲にのせていけたらなと、最近よく思います。
──歳を重ねていくごとに、歌も変化していくのですね。
『最後のダンス』(トートの歌)を、初演より20年後の『エリザベート スペシャル・ガラ・コンサート』で歌ったときに、自分でも全然違うなと思いました。退団後、ヨーロッパ各国で男性のトートが歌うのを何度も聴き、女優になって色んな役を演じたからなのか・・・。
──色気がさらに増しているように感じましたが・・・。
ありがとうございます! 現役のときは、男役としての色気だけを突き詰めていましたが、退団後の女優としての経験やいろんなトートさんたちの表現を聴いてきたからかな? そうそう、そのときの音楽監督の吉田優子先生に100点もらったんですよ! 宝塚現役中もそんな点数もらったことがなかったのに(笑)。

──本当に素敵でした。そんな一路さんに、ぜひ歌のルーツについて伺いたいのですが。
だいぶ遡るのですが、私は名古屋の中日劇場でナマの宝塚の舞台を観て、宝塚への夢が止まらなくなったんですね。実は先天性股関節脱臼をもっていたので、宝塚音楽学校の受験はお医者さまから猛反対されました。でも色んな整形外科の先生に相談すると「前例はないけれど、ちょっとやってみましょうか」と言われ、恐る恐る踊りを始めて。でも自分のなかで、踊りで大成することは無理だと思っていたので、気がついたらすごく歌を頑張っている自分がいたのが、私の歌のルーツのような気がします。宝塚に入っても「歌える」ということで、レールを少しずつ敷いていただき、自分の原動力になりました。
──男役として、歌がかけがえのないものになっていったのですね。
そうです。本音をいうと、トップになれるとは思ってなかったです。トップさんは歌、芝居、踊りの三拍子揃った方だと。私は大劇場でソロの歌をもらえたら十分、という気持ちで宝塚に入ったので、全編歌のミュージカル(『エリザベート』)で卒業できたのは、神様からもらったギフトだと思っています。
──いまは歌うとき、どんなことを心掛けているのですか?
歌って男役、女優、オペラと全部違うんですね。なので、曲目に合わせて喉を調整するため、声楽の先生のもとを訪れるところから毎回始まります。高いキーの作品は、半年ぐらい準備をしますね。それが積み重なって、コンサートで1部は男役、2部は女優、という構成をできるようになりました。実は宝塚退団後、ソプラノを出すために男役の歌を封印していた時期が10年ほどあって。でも、一度休業した後は宝塚の歌から始め、復帰コンサートは男役の歌を歌いました。男役の声は朝「おはよう」と起きたときから出るんです。10代の一番吸収できるときに修得しているので、ブランクがあっても自転車にすぐ乗れるみたいに、男役の歌は歌えるんです(笑)。

──4年間休業されたときは、どのような想いでいらっしゃったのですか?
自分のいいところも悪いところも全て見えて、自身を見直せるとてもいい時間でした。宝塚退団後はひたすら走り、終演後何も考えられずただ家に帰って寝るだけ、という生活を10年間続けていたので。ファンの方には寂しい思いをさせてしまったのですが、休業したことで自分がニュートラルになり良かったなと思います。
──いまはいいペースで、お仕事ができているのですね。
そうですね。退団して20年以上、こうしてお仕事させていただけるのが幸せです。これから先は身の丈に合った役に巡り合うのを楽しみにしています。復帰後、ストレートプレイにも多く出演し、『卒塔婆小町』をモチーフにした100歳の老婆や、『ガラスの仮面』の月影先生といった役もいただける年齢になったのだな、と感慨深いです。今度朝夏まなとさんのお母さん役(『オン・ユア・フィート!』)も演じますが、求められる役が広がっていることにワクワクします。歌に関しても、いくつになってもやるべきことは山積みですが、それをポジティブにとらえ、「これで終わり」とゴールを考えずに進んでいきたいです。
今コンサートは「京都芸術劇場 春秋座」(京都市左京区)にて、11月10日開催。チケットは一般6500円ほか。発売中。
『一路真輝&京フィル シャイニング コンサート in 春秋座』
日程:2018年11月10日(土)
会場:京都芸術劇場 春秋座
料金:一般6500円、学生&ユース席3000円
電話:075-791-9207
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