山田洋次監督、寅さんの原典を音楽劇に

2018.5.31 07:00

2010年の新派公演『麥秋』より本格的に舞台にも取り組んでいる山田洋次監督。大阪出身だが、地元で自身の舞台上演は稀少

(写真2枚)

『男はつらいよ』シリーズの山田洋次監督が脚本・演出を手掛ける音楽劇『マリウス』が、6月に大阪で上演。昨年、東京初演で主演をつとめた今井翼が病気休演となり、新たに桐山照史(ジャニーズWEST)を主演に、大阪ならではの『マリウス』が誕生する。

本作はマルセル・パニョルによるフランスの人気喜劇。1931年のマルセイユを舞台に、船乗りに憧れる青年マリウスと恋人ファニーの切ない愛や、人々の温もりが描かれる。山田監督は青春時代この戯曲に触れ、日本人に通じる人情の世界に感動。幼い頃から親しんできた落語と、この戯曲をベースに映画『男はつらいよ』を生み出したという。

寅さんシリーズと言えば、ひとつのところに留まらない男のロマンと滑稽さを、失恋という苦い思いを絡めて描いた人情喜劇。最新映画『妻よ薔薇のように 家族はつらいよ III』(5月25日公開)でも、笑っているうちにホロリとする山田ワールドが展開する。

この戯曲も、のどかな港町の人間模様のなかに、男女の機微や様々な愛が凝縮。本公演では、台詞の延長のように展開する歌、内なる想いを表現する激しいフラメンコなどのダンスが織り交ざっているだけに、「寅さんの世界が音楽劇になったら」と想像しながら劇場へ足を運ぶのも一興だ。

左から商人役の林家正蔵と、マリウスの恋人役の瀧本美織。2017年 日生劇場公演でおこなわれた初演より
左から商人役の林家正蔵と、マリウスの恋人役の瀧本美織。2017年 日生劇場公演でおこなわれた初演より

マリウス役の桐山は、初挑戦するフラメンコの猛特訓に励んでいるといい、舞台『アマデウス』のモーツァルト役で見せた硬軟自在な演技力でも魅了するだろう。また、ファニー役に再び挑む瀧本美織も、定評ある歌やダンスに磨きをかけ、一段と深まった女性像を見せるはず。ほかに、綾田俊樹、林家正蔵、柄本明ら頼もしいメンバーが出演。大阪公演は6月8日から26日まで、「大阪松竹座」にて。チケットは現在発売中。

文/小野寺亜紀

音楽劇『マリウス』

日程:2018年6月8日(金)~26日(火)
会場:大阪松竹座(大阪市中央区道頓堀1-9-19)
料金:1等席12500円、2等席6500円
電話:06-6214-2211

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