映像の魔術師・大林宣彦の映画祭が開幕

2018.1.20 21:30

『大林宣彦映画祭』でトークショーをおこなった評論家の春岡勇二(左)とミルクマン斉藤(20日・大阪市内)

(写真3枚)

日本映画界の既成概念を次々と打ち破ってきた大林宣彦監督を大々的にとりあげた『大林宣彦映画祭』が、大阪のミニシアター「シネ・ヌーヴォ」(大阪市西区)で1月20日にスタート。それを記念し、初日には映画評論家の春岡勇二とミルクマン斉藤によるトークショーもおこなわれた。

この映画祭は、自主映画、CM、商業映画のすべてにおいて新たな道を切り開いてきた映像の魔術師・大林の生誕80周年と最新作『花筐HANAGATAMI』の公開を記念したもの。今回の特集上映では、大林監督の協力もあり、全38作品という大林映画の歴史を一挙に紐解く重厚な内容となっている。

映画祭のオープニングを飾ったのは、オモチャ箱をひっくり返したようなポップな色彩と特殊効果で映画ファンを驚かせた、1977年公開のホラーコメディ『HOUSE ハウス』。当時、洋画におされてヒットを出せなかった東宝が、CM界を席巻していた大林監督を異例の待遇で迎え、現状打破を図った作品でもあった。評論家からの評価はイマイチだったが、若者たちは熱狂。30年後の2009年には、全米でも公開されることとなった。

映画祭のオープニングを飾った『HOUSE ハウス』、日本映画の製作スタイルにも風穴をあけた衝撃作 © 東宝

上映後のトークショーでは、「当時、日本映画で御法度といわれたことを、平気でガンガンやっちゃってる。ストーリーやテーマもなく、映像表現だけでこれはスゴい」(春岡)、「今、観てもどうかしてるよね(笑)」(斉藤)と語った評論家の2人。そして、過去の大林作品をふり返りつつ、「どんな企画も、結局自分の映画としてアウトプットしちゃう。狂ってんじゃねえかというぐらいの作家精神」(春岡)、「それが80歳、ガン宣告されてもなお更新しているという。ぶったまげますよ」(斉藤)と激賞した。

『大林宣彦映画祭』のフライヤー

また、大林監督のオススメ作品として、『青春デンデケデケデケ』『さびしんぼう』『異人たちとの夏』(以上、春岡)、『日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群』『廃市』『はるか、ノスタルジィ』(以上、斉藤)などが挙げられ、訪れた観客のなかにはメモをとる人の姿も。またこの日、大林宣彦監督による舞台挨拶も会場にて発表された。1月27日、『ねらわれた学園』(14時50分)の上映後に登場する。

『大林宣彦映画祭』

期間:2018年1月20日(土)~3月2日(金)
時間:作品により異なる
会場:シネ・ヌーヴォ(大阪市西区九条1-20-24)
料金:前売1回券1200円、5回券5000円、フリーパス券20000円

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